2023.01.16 【電子材料特集】大陽日酸 電子材料ガスの安定供給図る ジボランガス製造能力を増強
高木 常務
日本酸素ホールディングスグループの日本事業会社である大陽日酸は、半導体製造工程などで不可欠な電子材料ガスを供給する大手メーカー。多様なニーズに対応した電子材料ガスをそろえ、国内4カ所の生産拠点体制で高品質な製品を安定供給する。最先端の顧客向けでは、R&D部門との連携により新しい材料の開発・提案を継続的に進めている。
高木正治常務執行役員電子機材ユニット長は電子材料ガス事業の動向について「2022年に入りディスプレー向けなどが調整しているが、自動車関係は注残も多く22年度上期は高稼働が継続した。今後はメモリー向けがデータセンター投資抑制の影響を受ける可能性がある。地政学リスクによる粗原料調達への影響なども懸念している」とするが、今後の市場見通しについて「デジタル化の進展でエレクトロニクス市場は緩やかな回復を予想する。若干の設備投資後ズレなどはあっても、大きな流れとして今後も需要は伸長していく」(同)と説明する。
同社の電子材料ガス事業では、グループ会社の大陽日酸JFPが国内4工場を展開。高品質のガスを安定供給できる体制を整備し、高い評価を得ている。さらに、海外製品を輸入し、品質確認を行いながら国内ユーザーの要求仕様に合わせたカスタマイズ供給などにも力を入れている。
日本酸素ホールディングスは、日本、韓国、中国でジボランガス製造能力を23年末までに順次増強中で、24年以降には生産能力が2倍になる見込み。これにより半導体メーカーの需要増に応え、グローバルサプライチェーン強化を図る。
またJFEスチールと合弁で運営するJFEサンソセンター福山工場にレアガスのクリプトン・キセノン製造装置を新設することを決定し、24年4月の稼働を予定する。さらに、熊本地区を中心とした半導体関連投資活発化に対応するため、熊本県菊陽町に新たな物流拠点を新設した。
23年度の展開について、「エレクトロニクス市場への期待は高い。今後もモノづくりに真剣に取り組み、開発リソースも積極投入する。顧客の需要を見極め、素早い行動をとることで顧客に貢献していく」(同)とする。