2023.01.16 【電子材料特集】積水化成品工業 「テクポリマー」の用途拡大へ 半導体周辺部など新領域での採用めざす

上原 事業部長

 積水化成品工業は発泡技術や重合技術を生かし、幅広い産業の進化を支えてきた。エレクトロニクス分野向けでは、独自の重合技術を用いたポリマー微粒子「テクポリマー」の用途拡大を推進。半導体周辺部材など新領域での採用を目指す。

 テクポリマーはメタクリル酸メチル、スチレンをはじめ、各種疎水性ビニルモノマーをベースとしたポリマー微粒子。液晶ディスプレーやLED照明の光拡散材としての光学用途のほか、塗料や化粧品の添加剤として幅広い分野で使用されている。

 近年では新規領域での採用拡大の取り組みを進めている。特に注力するのが高速・大容量化に伴う電子材料分野のニーズ深掘り。半導体パッケージや実装部材に添加することで、低誘電特性などの機能を付与できる。5Gなどの高周波領域では、低誘電特性を与えることで伝送損失を抑えることが可能だ。

 低誘電用途向けでは①低誘電正接に寄与できる中実タイプ②粒子内部に中空構造を有し誘電率を低下させる中空タイプ③誘電率を下げるとともに耐熱性も付与できる中空タイプ高耐熱グレード--の粒子構造が異なる3タイプを用意。中空タイプ高耐熱グレードは昨年12月に発表し、封止材や銅張積層板のほか、生産において熱が加わる工程で使用するプロセス材料などにも提案していく。

 テクポリマーは用途に応じてカスタム可能で、粒子径調整や粒子表面改質などに対応する。平均粒子径はナノオーダーから数十マイクロメートルまで幅広く対応。誘電率、誘電正接とも低減効果を期待できる。

 2023年からは用途拡大の取り組みを一段加速させるため、従来日本を中心に行っていた提案活動を台湾、韓国、中国などに広げる。第2事業本部機能性ポリマー事業部の上原徳士事業部長は「市場でも影響力のある、力を持ったメーカーと協業し、アジア市場での取り組みを強化したい」とする。また「22年には誘電特性などのデータを測定できる設備も導入した。具体的なデータをそろえ、顧客提案力を強化し、トライ&エラーを繰り返しながらテクポリマーの優位性を顧客に提案し、実績拡大につなげる」と話す。