2023.01.16 【電子材料特集】日本ゼオン カーボンニュートラルに対応 既存事業磨き上げへ投資強化
田中 社長
日本ゼオンは、2030年ビジョンに「社会の期待と社員の意欲に応える会社」を掲げ、達成に向けた全社戦略に①カーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーを実現する「ものづくり」への転換②「既存事業の磨き上げ」と「新規事業の探索」によって社会課題解決に貢献③個々の強みを発揮できる「舞台」を全員で創るを設定している。
カーボンニュートラル対応では、国内5事業所で購入電力をRE(再生可能エネルギー)化することでCO₂排出量を12万トン削減(19年度比16%減)。30年にはCO₂排出量19年度比50%減を目指す。
既存事業磨き上げでは、高機能樹脂と電池材料への積極投資を実施中。高機能樹脂は水島工場で21年7月までに能力増強を実施し、高岡工場では24年8月にリサイクルプラントが稼働予定。電池材料はLIB(リチウムイオン電池)向けバインダー新拠点設立を決定し、24年の生産開始を目指す。
新規事業探索では重点分野に①CASE・MaaS②医療・ライフサイエンス③情報通信(5G/6G)④省エネルギーの4分野を定め、リソースを集中投入する。
「舞台」を全員で創るでは、22年に本社オフィスリニューアルを実施した。
23年度に向けても全社戦略に基づき、これらの取り組みを強力に進める。「カーボンニュートラルの潮流は当社にはポジティブ。当社はこの分野では一歩踏み出しており、今後もさらに推進する。既存事業の磨き上げへの投資を強化し、新規事業の探索でもさまざまな手を打っていく。そして従業員エンゲージメント向上のための舞台創りを進める」(田中公章社長)。
田中社長は、23年の世界経済の展望について「不透明要因が多く、23年の世界経済は厳しくなるとみているが、外部環境が変動する中で、継続成長のための取り組みを推進する」と話す。同社独自の改善活動である「ZΣ(ゼットシグマ)」活動や生産革新活動も継続して取り組む。
同社は高機能材料事業では、高機能樹脂、光学フィルム、電池材料などを展開。高機能樹脂はCOP(シクロオレフィンポリマー)を光学、電気・電子、医療用途などに展開し、高光線透過率、低誘電率、低誘電正接などを強みに実績を拡大している。
光学フィルムはディスプレーの大型化やOLED化に対応する多彩な製品を展開する。
電池材料は電池の5大性能への貢献を方針に、LIB向け正・負極バインダーやシール材料などを手掛ける。