2023.02.10 室外機、霜や雪に注意を 暖房エアコンの落とし穴 ファン破損も 街の電器店の奮闘

奮闘すること約1時間、元の姿に戻った(提供写真)

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厚い霜に、ファンが擦れた跡が見える(提供写真)厚い霜に、ファンが擦れた跡が見える(提供写真)

 ちょっとした雪でも交通が乱れる都市部の様子はよくニュースになるが、寒い朝の暖房という重要なライフラインが、実は雪などの影響を受けかねない。寒波の襲来する中、雪国・新潟の老舗電器店の店主は、ユーザーの要望に東奔西走しつつ、注意を呼びかけている。

 パナソニック系のライフネット吉田(新潟市秋葉区)。吉田光宏社長は、この時期ならではの仕事、つまりエアコン室外機の保守修理に応える。「人間霜取り機です」と汗をかきながら話す。

 今月初めの早朝、市内の得意先から依頼を受け、店で購入したエアコンの室外機の霜取り作業に駆けつけた。約1時間、真水をかけながら工業用のドライヤーで霜を溶かした。

 私たちの暮らしで、エアコン本体はともかく、室外機はあまり意識されない。しかし、室外機は外の空気から熱を奪い、室内機に運ぶ役目があり、その動きが悪いと、暖房が効かなくなってしまう。あるいは動いても効きの悪さから、ただでさえ高騰している電気代が、さらにかさむ恐れもある。

 その室外機の天敵が雪や霜。①氷点下まで気温が下がる②湿度が高い③風の通り道に室外機がある、という3条件がそろうと、内部に霜が付きやすくなる。エアコンの多くには「霜取り機能」が搭載されているが、その機能でも太刀打ちできないほどの厚さの霜がつくこともある。ひと冬に5~10件ほど霜取りの依頼がある。この得意先は、室外機から出る音で異変に気づいた。室外機内部のファンが回転するたびに凍った霜に当たり、カンカン、と音が響く。そのまま運転を続けるとファンの破損につながる。

 「暖房性能が高いエアコンほど、室外機に霜が付きやすい」と吉田社長は話す。暖房強化モデルの機種は室外機下部に凍結防止ヒーターが入っているが、ヒーターが付いてない機種は点検など注意が必要だという。

●永遠のテーマ

 「霜取りは永遠のテーマ」と吉田社長は話す。室外機に取り付ける防雪部材もあるが、霜が付くのを必ず防ぐとは言い切れない。いろいろな条件がかかわっているからだ。隣家の室外機には霜が付いておらず、そのさらに隣家の室外機には大量の霜が付いている、といったこともあるという。

●エアコンの点滅に注意

 また、勘違いも多い。例えば、パナソニック製のエアコンは、霜取り運転中は電源ライトが点滅する仕組みになっている。霜取り運転中は一時的に温風が出なかったり、ふだんは聞かない音がしたりすることもある。

 それらを不調のしるしだと誤解し、思わず電源を落としてしまう人もいる。再起動させるとそのまま運転に入るが、霜取りがされていない状態のため、ますます霜が付いてしまう。吉田社長は「電源ライトの点滅中は霜取り中です」と、周知徹底にも取り組む。

●街の電器店として

 地域店の経営者として、「今のお客さまの満足度をどう上げていくかが重要」と吉田社長。同店では、量販店の利用者だった高齢者が、運転免許証の返納を機に、徒歩圏にあることに着目してか得意先になってくれたり、量販店に流れそうな若い40代の顧客からエアコンの注文が寄せられたりと、地域店へのニーズを実感している。

 吉田社長は「商品を介してお客さまと親戚関係になるようなものだ」とも語る。家電は一度購入すると、顧客の自宅に何年もあり続け、定期的な点検もする。商品は自分の〝子ども〟であり、商品を通じてお客とのキャッチボールが始まる。その一環が霜取りでもあるのだ。