2026.07.27 【育成のとびら】〈78〉2026年度新入社員の仕事観② 「今の会社で働き続けたい」新入社員の6割超 過去最高
成長・挑戦促す鍵はフィードバック
近年、転職市場の活性化を背景に、新入社員入社シーズンになると「退職代行」や「早期離職」といったキーワードがたびたび世間の注目を浴びてきた。「入社前のイメージと違った」など、新入社員がリアリティーショック(現実とのギャップによる衝撃)を受けて配属直後に退職してしまうリスクに対し、どう対応すべきか、多くの企業や管理職が悩みを抱えている。では、実際に今年の新入社員は、今の会社で働き続けることについてどのように考えているのだろうか。当社ALL DIFFERENTとラーニングイノベーション総合研究所がこの春に行った最新調査から探る。
2026年度の新入社員3849人を対象にした調査結果によると、「今の会社で働き続けたいか」という質問に、「できれば今の会社で働き続けたい」と回答した割合が66.3%となり、2014年度の調査開始以来、最高だった。「わからない」は15.2%、「そのうち転職したい」は12.7%となった。
どのような状況であれば今の会社で働き続けたいか質問したところ、「職場の人間関係が良い」(66.4%)と「高い給与・賞与をもらえる」(61.0%)がともに6割を超え、この質問項目を調査して以来、7年連続で二大トップをキープした。
自社で長く働きたいと考える新入社員が多いことは企業や管理職にとって歓迎すべきことだろう。早期離職は、採用や育成にかけたコストの損失だけでなく、現場の負担増加や、職場の士気の低下などにつながるからだ。
一方で、注目したいのは「仕事を通じて成長できる」という回答割合の変化だ。2026年度は31.6%で、6年前の45.4%から13.8ポイント下落した。定着意向が高まる一方で、仕事を通じた成長を重視する割合は低下。企業には新入社員の定着を支援するだけでなく、成長や挑戦への意欲を高めることも求められているといえる。
フィードバックの手法を学び新入社員の姿勢が変化
企業が持続的に成長するためには、各社員の新しいアイデアや業務改善、価値創造への挑戦が欠かせない。そのために企業は、一人一人の成長意欲を引き出す職場環境を整えることが重要だ。
新入社員の成長や挑戦を促す上で重要な取り組みの一つは、上司や先輩によるフィードバックだ。日々の仕事を通じてどんなところが成長したのか、今後はどこを改善すべきなのか、本人が気付いていない成長や改善点に目を向けさせるフィードバックこそが、新入社員の成長・挑戦への動機付けにつながる。
しかし実際には、フィードバックに難しさを感じる管理職やOJT(現場育成)担当者は少なくない。ハラスメントへの社会的な関心が高まる中、「厳しく指摘すると問題になるのではないか」「傷つけてしまうのではないか」と考え、改善点を伝えることをためらうケースもある。結果、当たり障りのない声かけばかりになり、必要な指導や助言が十分に行われない状況が多くの職場で生まれている。
こうした事象が起きる背景の一つに、管理職自身が適切なフィードバックの手法を学ぶ機会が少ないことが挙げられる。フィードバックは育成の核となるスキルにもかかわらず、体系的に学ばないまま現場で後輩育成を担っている人は少なくない。
では、新入社員の成長意欲を高めるためには、どうしたらよいのだろうか。
ある製造業企業では、OJT担当者の指導スキルを標準化する取り組みの一環としてフィードバック研修を実施した。同社では新入社員の報告内容や課題への取り組み方に対し日々フィードバックするよう努めてきた。しかし、心理的安全性についての捉え方に世代間でギャップがあり、改善点を伝えることに難しさを感じていた。
研修では、ネガティブなフィードバックを伝える前に、まずポジティブな面から伝える、といった行動変容につながりやすい具体的な伝え方などを学習した。さらに新入社員研修期間に、OJT担当者だけでなく人事部のメンバーも参加した。人事部員からは「改めて手法などを学び、とても役に立った」との声が上がった。
研修前は、配属後の現場で受け身の姿勢になりがちな新入社員が一定数いたが、研修後は、困難があっても自ら乗り越えようとする新入社員が多く見られるようになったそうだ。また、人事と現場で育成方針や期待する行動について共通認識を持てるようにもなった。

同社人事担当者は「一人の人間を育てるために、人事と現場が一緒に取り組む必要があることを再認識した」と語る。人材育成は人事だけでも現場だけでも成立しない。両者が連携し、一貫した行動を示すことで初めて効果を発揮するのだ。
新入社員の定着意向が高まる今の時期だからこそ、企業には「安心して働ける環境」と「成長を促す仕組み」の両立が求められる。その鍵を握るのが、適切なフィードバック文化の醸成だ。全社でフィードバックの手法を学ぶ機会を設け、人事と現場が一体となって育成に取り組むことが、挑戦し続ける組織づくりにつながるだろう。 (つづく)
【次回は2026年8月10日号に掲載予定】









