2023.06.02 アニメ産業で輸出増めざす フィリピン業界、日本などに熱視線

業界の進化をめざす団体のメンバーら

 【マニラ支局】フィリピンのアニメーション産業が進化をめざしている。スキル向上などを通じ、業界のサプライチェーンで、より付加価値を提供する産業として存在感発揮を図っている。

 同国のアニメの歴史は約40年前にさかのぼる。「トムとジェリー」などで知られるウィリアム・ハンナ氏らが立ち上げたハンナ・バーベラ・プロダクション(のちにワーナー・ブラザーズ・アニメーションに吸収)のアニメーターが、人材への研修を提供。それが進み、地元のアニメーター雇用につながった。

 アニメーションスタジオが設立され、基本的に輸出やアウトソース向けの仕事に従事。特に北米の優れたクライアントと協力できるようになった。

 次に拠点を設立したのは日本の東映アニメーション。北米系の企業の事業モデルをそのまま取り入れ、フィリピン人アニメーターとの良好なビジネス関係を活用し、子会社の東映アニメーションフィリピンを立ち上げた。

 さらに、アニメの需要が高まるにつれ、輸出需要に対応するために、さまざまな個人もスタジオを設立した。

 「私たちが外資系企業に好まれる理由の一つはコミュニケーション。東洋と西洋両方の文化を十分吸収しており、文化的に独立した面のある中国やインドといった競合地域と異なり、意思疎通がしやすい」とエンリケス氏は言う。

 サービスが北米よりもはるかに安いというコスト面も、競争上の優位性になっている。

 フィリピンのアニメーション産業の発展を支援するため、日本アセアンセンターは2021年、フィージビリティ―スタディーも手がけた。①日本のアニメーターを大学や研修センターに結びつける②既存のアニメーターを訓練し、日本のアニメーションのパイプラインを採用できるよう、新しい人材育成のためインターンシッププログラムを作成する、なども提起もしている。

 代表的な団体の幹部に今後の展望などを聞いた。

 (1、2日の電波新聞/電波新聞デジタルで詳報しています)