2023.06.06 【ITサポートサービス特集】OKIクロステック HA保守サービスを拡大へ GXと医療分野を支援

福世 常務

 OKIクロステックは、ATM(現金自動預払機)の保守運用で培ってきたノウハウを生かしたハイアベイラビリティー(HA=高可用性)保守サービスを拡大させる。

 HA保守は全国約180のサービス拠点と3200人のスタッフ(うち約1200人がカスタマーエンジニア=CE)による24時間365日のマルチベンダーサポートが特徴で、顧客の要望に合わせた支援が可能だ。福世明常務執行役員サポートサービス事業本部長は「HA保守の幅を広げるとともに遠隔監視などのサービスを強化していく」と話す。

 同社では設備工事の領域からIT関連機器、メカトロニクス機器の保守運用までワンストップで支援可能。現在は従来の保守サポート領域に加え、新領域として「GX(グリーントランスフォーメーション)」と「医療」分野の支援を掲げており、今年度は幅広い領域でHA保守の案件獲得を目指す。

 HA保守は、CEが現場に出向いて保守をするオンサイト保守から、受付や監視、運用の代行、ヘルプデスク、リモート診断、予兆保守までメニューをそろえており、目的に合わせてサービスを選択できる。

 機器をネットワークでつないで遠隔で状態監視するサービスには、止めることが許されないATMの監視運用で培ったノウハウを応用。福世常務は「今後は遠隔サービスを増やして予防保守を拡大したい」と語る。

 2022年11月からPBX(構内交換機)のHA保守サービスを始めた。OKIのPBXをオンラインでつなぎ、顧客専用のポータルサイトでPBXの遠隔運用をするもので、企業などの電話システムの効率的な運用を支援する。

 また、HAサービスのネットワークなどに活用しているISDN(INS)回線の入れ替えも進める。2024年1月にISDNが廃止になることから、「LTE回線への切り替え工事や無線システムの構築に向けて支援する」(福世常務)。

 今年度はヘルプデスクサービスも強化していく。同社では100人体制でセンターを運用しており24時間365日、問い合わせを受け付けている。

 今後は情報システム部門の負荷軽減の支援に取り組む計画。「ヘルプデスクで受けたインシデント(事故前の事象)をナレッジ(知見)として蓄積分析し、業務効率化の支援までできるようにしていく」(福世常務)。

 他社に先駆けて取り組んできた医療分野では画像診断や計測、光学機器など、全国約80カ所でのサポート体制を整備。医療機器修理責任技術者は約280人体制となり、医療保守の顧客数は約40、受託した作業は年間約1万8000件までに拡大した。外資系医療メーカーからの案件も増えており「全国対応できる強みを生かし、案件を増やしていきたい」(同)という。

 GXではBEMS(ビル用エネルギー管理システム)などのノウハウを生かす。今年からOKI本庄工場に太陽光発電システムを設置し、オンサイトPPA(電力購入契約)モデルでのサービスを始めた。設備の導入だけでなく保守や運用も必要になることから、エネルギーとICTを組み合わせて総合的に支援する意向だ。

 デジタル技術を活用したCEの支援も実施していく。既にスマートフォンなどを活用して作業工程の進捗管理などを進めている。福世常務は「今後はHAサービスの強化で予防保守などを拡大し、CEの作業負荷を抑えながら保守品質を高めていく」と力を込める。