2023.11.27 【はんだ総合特集】価格が高騰するはんだ材料 低銀はんだや銀レスはんだが増加
はんだ材料の価格が上昇している。
日本では2000年にJEITA(電子情報技術産業協会)がスズ、銅を基材に、銀の含有率を3%(質量比)にした「3銀」とも呼ばれる「SAC305」を「業界標準」として推奨。これまで家電、AV機器など広く採用されてきた。しかし、金属材料価格が変動し、特に銀は数倍に値上がりしたことから、銀の添加量を抑えた「低銀はんだ」や、銀を含まない「銀レスはんだ」が増えている。
かつて日本でも多くの銀が産出されていたが、現在はメキシコ、ペルー、韓国、オーストラリアなどから99%以上を輸入している。
銀の価格は23年11月2日現在、1グラム当たり125.84円。前月の10月は平均価格が107.58円で推移し、相場は上昇している。
スズの用途は、はんだ、ブリキ(めっき缶、めっき鋼板)、電子部品・伸銅品(リードフレーム)、ITO(インジウム、スズの酸化物で液晶・プラズマパネルの透明電極)、化成品(有機スズ、塩化ビニール安定剤として使用される)、鋳物・軸受合金、電線(めっき)などがある。このうち、はんだが50%以上を占める。
スズの生産国は中国、インドネシア、ミャンマー、ペルー、コンゴ、ブラジル、ボリビアなど。
価格は1㌧当たり20年1月約1万7000ドル、21年1月約2万2000ドル、22年1月約4万2000ドルと高騰を続けている。23年9月の平均価格は円換算で約3779円/キログラムだった。
銅は優れた電気伝導性により、集積回路やプリント基板、電気器具の配線、変圧器、電磁石のようなデバイス、銅電線などの材料として用いられる。
銅の生産国は1位はチリで、続いてペルー、中国、コンゴ、米国、オーストラリア、ザンビアなど。
世界の銅消費量のうち、中国が5割以上を占めている。
また銅の新規需要の大半は、EVで占められる。
銅の価格は1㌧当たり平均で、20年67万5000円、23年上期平均124万円と高騰している。
ニッケルはEVの電池材料にも使われる。コロナ禍で世界経済が低迷したことで価格も下ったが、ここにきて中国のEV生産回復などにより、需給バランスが戻り、価格も上昇基調にある。
ニッケルの生産量(年間)1位はインドネシアの85万3000トン、2位はフィリピンの32万3325トンとなっている。
はんだ材料の価格高騰の対応のみならず、リフローにおける窒素ガスの削減、ギ酸リフローによるフラックスレス、無洗浄など、コスト削減の努力が続けられている。