2020.03.27 電機各社、新型コロナ感染防止で在宅勤務強化 入社式は中止相次ぐ 

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、東京都の小池百合子知事が不要不急の外出自粛を要請したことを受けて、主要電機各社は在宅勤務の強化に動きだした。

 既に在宅勤務を含むテレワークの推奨に取り組んできたが、首都圏を中心にもう一段強める。4月1日の入社式とその後の研修に関しても再度見直しを図るところが目立つ。刻一刻と状況が変化する中、情報収集しながら柔軟に対応していく構えだ。

 電機各社は新型コロナの感染拡大を防ぐため、2月からテレワークや時差出勤を推奨するとともに、3月には全国小中学校の一斉休校を受けて在宅勤務の幅を広げるなど対応を図った。4月1日の入社式も中止または小人数での分散開催、Webでの開催などに切り替える計画を立てていた。

約5万人が在宅勤務

 25日夜の小池都知事の要請後、各社は対応を強化。日立製作所は感染拡大防止策をもう一段強め、日立グループの都内事業所約150カ所、従業員約5万人に原則在宅勤務を通達。27日から在宅勤務を始めた。東京以外の自治体から要請があった場合も同じように在宅勤務に移行する計画だ。

 4月1日の入社式は既に中止を発表し、新入社員約600人を少人数に分けて入社手続きおよび社長訓示のビデオ視聴を予定していたが、都の要請後はこれも中止に。新入社員は直接配属先に出向き、各事業部門で受け入れを行う。

全拠点で在宅勤務

 東芝は既に国内全従業員8万人を対象に、上限を設けない在宅勤務と時差通勤に取り組んでいたが、26日付で国内全拠点を対象に、在宅勤務ができる職場は原則在宅勤務をするように通達。工場ラインなどを除く事業部門で在宅勤務に切り替えている。

 入社式は既に中止を決定。少人数に分けた入社手続きとビデオ配信による社長訓示を予定しており、現状では計画通りに進める。少人数に分けて行う集合研修は、通常1カ月だが4日間に短縮して行う。

初出社日を4月13日に

 三菱電機は在宅勤務や時差出勤を推進し、最大約2万5000人が在宅勤務できる環境を整えて対応してきた。今回の要請により27日-4月12日の間、本社勤務の全従業員約4500人は在宅勤務を基本とする。

 入社式は神戸での開催を取りやめた。各事業所で分散実施することにしているが、これも見直して4月1日の初出社日を13日に延期。その間は自宅待機とする。

 入社日は1日のままとし、賃金の減額などは行わない考え。各事業所で実施予定だった研修カリキュラムは日程を再調整して事業所ごとに実施する。対象の新入社員は約1140人。

Webで入社式・辞令

 パナソニックはフレックスや在宅勤務制度を利用して対応を進めてきた。要請を受け、首都圏に勤務する従業員は原則、在宅勤務とした。他地域からの出張も原則、自粛を決めた。

 入社式はWeb入社式に変更し、新卒約700人は各自、自宅のPCで社長と役員からのビデオメッセージを視聴。Webで辞令を受け取る。研修も2週間は在宅で行う予定で、この流れは変更しない。

原則テレワークに

 ソニーはテレワークの上限撤廃と時差出勤を進め、フレックスタイムの幅を広げて対応してきたが、26日から原則テレワークに切り替えることを決めた。対象は東京と神奈川の事業所の約2万人。順次在宅に切り替え、遅くとも4月6日から4月末までテレワークをする予定だ。

 入社式は既に中止を決定。グループ新入社員約900人は、ビデオによる社長訓示を社内イントラネットで視聴する予定だったが、今回の要請に伴い新入社員は1カ月間、自宅待機をすることになった。PCなどの支給もできないため、内定者サイトなどで情報発信を行う計画。

研修もWeb配信で

 NECは既に全社員約6万人が在宅勤務できる環境を整えておりテレワークを推進してきたが、今回、在宅でできる業務は全て在宅勤務で行い、出勤を最小限にすることを決めた。

 入社式は少人数に分けてWebライブ配信による分散開催を予定していたが中止にする。研修も複数会場に分けて行う予定だったがWeb配信に変更。新入社員は4月1日以降、分散してPC支給と設定のために出社し、その後は自宅でビデオコンテンツによる研修を受ける。

在宅勤務対象増やす

 シャープはフレックス勤務の適用対象の拡大や時差出勤の対象拡大、学校休業に伴い在宅勤務の適用対象を広げてきた。今回、首都圏勤務の従業員に対し、業務の特性を考慮した上で在宅勤務や時差出勤の適用対象者を増やすことを決めた。

 期間は27日-4月12日。入社式は分散開催でビデオメッセージによる訓示を予定していたが、要請を受けて現在、社内で開催できるか検討中。合同研修も2日間に短縮しビデオ配信を予定していたが、状況に応じて変更するとしている。

1都3県の5万人在宅勤務

 富士通は国内グループ従業員約8万5000人を対象に職場以外で働くテレワークを推奨すると通知していたが、要請を受け、首都圏1都3県の事業所で働くグループ従業員約5万人を原則として在宅勤務によるテレワークにすることを決めた。

 入社式は中止で、新入社員は1日以降に分散して出社しPCを受け取るなど必要な手続きを経て、各自、社長からのメッセージ動画を視聴。研修も基本的にインターネット経由で自宅において受講する。(電波新聞紙面では30日付に掲載します)