2020.03.31 【関西版】大阪府河内長野市のオンデマンド交通サービスにドコモの「AI運行バス」採用

ドコモの「AI運行バス」システムを活用したクルクル

乗客側の予約画面イメージ図。スマートフォンや電話から配車手配ができる乗客側の予約画面イメージ図。スマートフォンや電話から配車手配ができる

大西 担当課長大西 担当課長

 NTTドコモが手がけるIoTソリューションの一つ、「AI運行バス」はAI(人工知能)を活用したオンデマンド型交通システムだ。このほど、大阪府河内長野市のオンデマンド交通サービスに採用され、高齢化が進む地域住民の新たな移動手段として活躍している。

 ドコモの「AI運行バス」は、路線や運行ダイヤではなく、乗客からの予約情報に基づいてAIが目的地までの最適ルートや所要時間、さらにはより安価に移動する効率的な乗り合いのルートを算出する。

 関西支社法人営業部IoT推進チームの大西秀尚ビジネスデザイン担当課長は「19年4月のサービス提供開始以来、延べ20万人超(同年12月時点)の輸送に貢献してきた実績がある」と胸を張る。

 AI運行バスが採用されたのは、河内長野市で19年12月から運行している南花台モビリティ「クルクル」。

 クルクルは環境省が主導する「IoT技術等を活用したグリーンスローモビリティの効果的導入実証実験」の採択を受け、モビリティサービスの社会実装に向けて同社、大阪府、同市、市社会福祉協議会、南花台自治協議会、関西大学、コノミヤ、関西電力が一体となって実証に取り組む事業だ。実証期間は3年間で、将来的には無人運転も想定されている。

 クルクルでは、高齢化が進む地域住民の生活を支えるスーパーマーケット「コノミヤ南花台店」を拠点に、域内約340カ所の電柱や公民館を乗車ポイントとして、使用車両の電動自動車2台が時速10キロメートルの低速で走行する。

 運転者や添乗員、コールセンタースタッフなど、クルクルを運営するのは地域住民ボランティアだ。「運営主体をボランティアが務めるのは全国初」(大西担当課長)だという。

 大西担当課長は「モチベーションを上げてもらおうと勉強会を複数回開催した。乗客側の予約・変更方法やドライバー側の予約情報の確認方法、コールセンターでの受付画面の見方を伝えた。さらにチームを作ってそれぞれでリーダーなどの役割を決めてもらうことで、使命感を持って取り組んでいただけた」と振り返る。

 利用した地域住民からは「すぐに来てくれる」「どこを走っているか確認できてよい」と好評だという。

 AI運行バスの今後について、大西担当課長は「交通弱者がいる郊外エリア、あるいは観光地の周遊などに活用できる。また、関西万博に向け、MaaS(Mobility as a Service)に食い込む取り組みにも発展させたい」と話していた。