2024.09.24 【九州・山口産業特集】DELIA AI活用で次世代EMSを推進
ローカルVPP
DELIA(データサイエンスによる分散エネルギー情報基盤アライアンス、福岡市早良区)は、電気自動車(EV)充電に太陽光発電を活用するローカルVPP(仮想発電所)を一戸建て住宅で実証、PV(太陽光発電)、蓄電池、EVをシームレスにつなげる最小単位のマイクログリッドで継続したデータを積み上げている。
次世代EMS(エネルギーマネジメントシステム)プラットフォーム「HyperDeMS」は、電力のやりとりを改ざんしない形で記録する小型のチェーン型台帳(マイクロチェーン)を使用し、マイクログリッド内のエネルギーの電力移動が時系列チェーンとして記録される。マイクロチェーンのデータはもちろんのこと、エネルギー機器の電圧なども直接機器からデータをサンプリングし、中村良道代表理事は、AI(人工知能)を活用してエネルギー機器のさまざまな異常検出に役立てたいと考えている。
最近では、多様化するエネルギー機器開発に向けて新しいソリューションの開発に取り組み始めた。動作中の制御プロセッサーの計算結果を、多チャンネルでリアルタイムに波形モニターする。エネルギー機器内部の動作の様子を見ながら、丁寧に学習や製品開発を行うことができる。エネルギー機器開発が大変難しいため、その一助となればとし、会員向けには教育支援も行う予定だ。
教育と並行して実践的なものを作る立場として、分散エネルギー分野ではITの知識が必要となってきており、技術者が持つスキルとうまくマッチングされていないことも散見される。
ここ1、2年で開発環境やボードコンピューター、ソフトもパイソンやチャットGPTなど技術面が進化し、新たな世界へのエンジンになるのは間違いないとみる。
今後はデジタルツイン技術と教育の二本立てを柱とする方向で、企業ではなく社団法人だからこそ自由な発想が可能に。装置の開発に必要な基盤のモジュールの販売など、教材をさらにもう一歩進め、体験型のハードウエア、キットも視野に入れ、人材育成をサポートしていく。