2025.01.09 【電子部品総合特集】部品メーカートップに聞く 2025年の経営戦略 ケル 春日明社長
春日 社長
顧客開拓など海外事業を継続強化
2024年度は工業機器市場が在庫過多の影響で落ち込んだ。だが、25年度にはどこかのタイミングで上昇していくと考えている。
車載は、直近では欧米の新車販売低迷やEV(電気自動車)市場での価格競争激化などのネガティブな情報が増えているが、ADASや自動運転の高度化で搭載部品点数が増加するのはポジティブ。HEVは今後の生産台数増が予想され、来期に向けても期待する。
最近は、生成AI(人工知能)関連で半導体製造装置市場の成長が期待されているが、生成AI関連以外の半導体製造装置はまだまだ在庫が多い。それでも長期的には半導体製造装置市場の力強い回復が見込まれる。省人化や自動化関連でのロボット需要も中長期で成長を期待する。
現在、25年度からの「第6次中期経営計画(3カ年)」の策定作業を進めている。加えて、30年度までを見据えた初の「長期経営計画」も策定中だ。
25年度も経営ビジョンの「コネクタメーカーとして、世界に貢献できる企業になる。」に沿って海外事業を継続強化する。24年度上期の海外売上比率は中国や欧州向けの増加で約47%に上昇したが、まだ半分以上を国内が占める。特に米国は3%ほどにとどまるため、新規顧客開拓で2桁まで高めていきたい。
その一環として、24年4月に米国に販売強化のための現地法人を開設。また、24年11月には中国・珠海市(広東省)に子会社を設立し、新たな生産拠点開設を発表した。顧客の地産地消要求に対応したもので、25年4月以降の稼働を予定。米国では、レップとともに拡販活動を継続する。北米の展示会にも積極的に出展する。
24年は中国、インド、台湾などの展示会に出展した。特にインドは人口も多く、「脱中国化」で中国からの工場移管が増えている。その波に乗っていく。
分野別製品展開では、5G通信向けは引き続き開発を強化する。光通信用製品の試作も進めている。新エネルギー市場向けでは、OBCの試作を進めている。車載は、統合ECU用コネクターやHEV用コネクターなどを訴求していく。
国内工場では24年に外観AI検査機を1台導入した。次期中計でもさらに増設する。