2025.01.09 【電子部品総合特集】部品メーカートップに聞く 2025年の経営戦略 タムラ製作所 浅田昌弘社長

浅田 社長

全ての面でオンリーワン志向

 2025年の展望は、米国はトランプ政権による政策が不透明で、中国もどこまで市場が持ち上がるかが分からない。欧州も戦乱が続いている。だが、当社が力を入れている脱炭素関連の分野は確実に伸びていく。

 25年度からスタートする新たな中期経営計画(3カ年)は、「脱炭素/カーボンニュートラル」がキーワード。脱炭素系の分野ではワイドギャップ(次世代)半導体が活躍すると考えており、それに関わる受動部品の展開に注力する。今後も産学連携で次世代半導体向け製品の創出を進める。ゲートドライバーモジュールなども次世代半導体向けに力を入れている。

 現在は世界的にあまり景気が良くない中で、AI(人工知能)関連の分野は景気の良さが際立っている。当社としてもその風に乗っていきたい。

 24年はデータセンター(DC)向けの大型トランスやリアクターの販売が米国を中心にASEANでも増加した。25年も引き続き伸ばしていきたい。

 24年初めに、米国のDCに設置されるPDU(電源分配ユニット)やUPS(無停電電源装置)向けのトランスやリアクターの需要増に対応するため、メキシコ工場を増強し、フル操業してきた。生産が追い付かないため第2工場を準備しており、25年春ごろから大きく立ち上がる予定。メキシコ全体での生産キャパを上げ、売り上げに結び付けていく。

 これまで海外売り上げに占める地域別売り上げは中国がトップだったが、23年度は欧米がトップになり、24年度もさらに比率が高まる見込み。こうした拡販活動を全世界で展開したい。マレーシア工場でもPDU用電源向けの大型トランスを生産しており、需要を取り込んでいく。日系大手顧客向けのUPS用電源向けの大型リアクターも伸ばしていく。

 次期中期経営計画では変化する市場に対応する中で、サプライチェーンの最適化にも注力する。

 当社は24年に創業100周年を迎えた。当社は、「オンリーワンカンパニーの実現」をコーポレートスローガンに掲げている。今後も顧客の期待を裏切ることなく、製品やサービスをはじめ全ての面でオンリーワンを志向していく。