2025.01.10 【放送総合特集】放送機器各社 25年の戦略 国際電気 伊藤明男副社長執行役員
伊藤 副社長
省人化のソリューション提案
映像と無線技術生かす
一昨年12月27日から日清紡グループの一員となり、昨年12月27日に新商号を創業時の「国際電気」とし、当グループの中核会社として新たに事業成長を目指している。当社の強みとする無線通信・画像処理・情報処理技術を生かして社会のさまざまな現場での課題に対するソリューションを提供していく。
昨年は、放送市場のDX化への取り組みを強化した。また、地上デジタル放送設備の更新に向けて、ドローンに搭載可能な小型IP対応FPU装置など、放送用の無線中継伝送装置のラインアップを展開。国内シェアは約8割を占めており、堅調に推移。新型サテライト送信装置も堅調に推移している。
近年、人手不足(技術者の高齢化等)などの課題に対応して、新しい技術を取り込んだFPU装置の開発や省人化ソリューションを提案している。
現地の状態を見える化するスマートメンテナンスとして、山間部などにある中継設備の監視などを遠隔でも対応できる「送信所(鉄塔・局舎)診断ソリューション」を提案。センサーやカメラで送信所の状態をクラウドなどに収集し、見える化することで、遠隔地に居ながら簡単に状態診断が可能だ。
管理ソリューションとして、QRコード読み取りで物品の貸し出しや返却を簡単に管理できる「物品管理ソリューション」や位置測位デバイスで機材の正確な位置情報を管理できる「ロケーションマネジメントソリューション」も提案。
放送局向けの支援システムとして、画像と文字の情報など、異なる種類のデータを扱えるAI(人工知能)「マルチモーダルAI」を用いて報道原稿の自動作成や映像素材の検索が可能な「災害報道/アーカイブ映像再利用の省力化ソリューション」を提案。
また、建物やスタジオ内のLANケーブルを光ファイバにー置き換えることで、容易なケーブリング、帯域無制限、省スペース化などを実現する、次世代光ファイバーネットワークも提案している。
セキュリティーソリューションとして、ネットワーク監視カメラとAI画像認識を組み合わせることで、高精度な人物検知を可能にする「AIエッジコントローラ」も堅調だ。従来の画像認識技術における人物以外にも反応する誤検出の課題に対しても、人物を学習したAIによって検知精度を大幅に向上させ、現場のセキュリティー強化を実現する。クラウドを介さずにエッジで判断するため、瞬時に検出して即時対応できる点で好評を得ている。
放送関係では、ブラジルの子会社で開発・販売している「FM送信機」が好調。フル4Kカメラもグローバルでの販売が順調だ。IPに対応するフル4Kカメラも開発している。
生成AIを研究する部隊と設計者も交えて生成AIを全面的に取り組んでおり、営業もSEも一体になって専門のDXチームを設けている。ローカル5Gや生成AIなどの最新技術を取り入れながら、最終的には各分野に横展開できるパッケージ製品にし、手頃な料金で提供していく予定だ。
今年も映像と無線の技術を中心に付加価値を付けるソリューションを提供しながら、製品ポートフォリオの拡充や新市場への展開など、今よりも選択肢を広げていきたい。