2025.01.10 【放送総合特集】放送機器各社 25年の戦略 住友電気工業 貴田渉ブロードネットワークス事業部事業部長

貴田 事業部長

グリーン社会実現に貢献

省電力化開発に注力

 昨年は、ケーブルテレビ(CATV)放送のオールIP化の実現に向け、CATVのIP放送運用仕様に準拠したIP放送装置を製品化したほか、ケーブル技術ショーでの動展示やフィールドトライアルを実施し、システムの安定性を改めて示すことができた。

 同軸ケーブルからFTTH(光化)への移行も順調に進んでいる中、当社ではFTTH製品として「10G-EPON OLT」を提供しており、110局を超えるCATV事業者に採用されている。宅内の無線環境改善への対応も進めており、昨年9月にWi-Fi 6Eに対応した10G-EPON ONU「BFW7822-BAX」の販売を開始。「Wi-Fi Easy Mesh」対応で、無線エリアの拡大や障害発生時における迂回ルートの確保など安定した宅内無線環境を構築できる。

 また、CMTSの更改需要に対しては、北米で豊富な導入実績のあるHarmonic社と協業し、「cOSシステム」を提案している。本システムは、既設CMTSを仮想化し、R-PHY装置と組み合わせた分散型ネットワークを構成する。これにより、DOCSISケーブルモデムによるインターネットサービスの継続提供が可能となる。沖縄ケーブルネットワークに導入いただき安定稼働中であるほか、昨年のケーブル技術ショーでも紹介し、多くのお客さまから引き合いをいただいている。

 本システムは、DOCSISとPONを一元管理できることも特長で、R-PHY装置にPONポートを有する部品を装着し、R-PHY装置を屋外伝送装置に搭載することで、ネットワークを部分的に光化できる。集合住宅への展開や段階的な光化が可能なシステムとして、引き続き拡販に努めていく。

 今年は、10G-OLTをはじめとする所管製品の省電力化開発に注力し、お客さまのカーボンニュートラルや当社グループが掲げるグリーン社会実現への貢献を目指す。また、25Gや50Gへの高速化、Wi-Fi7などの最新規格に準拠した宅内端末の高度化にも取り組む。

 STBについては、引き続き「ケーブルプラスSTB-2 mini」を拡販するとともに、今後は外部サービスとの連携強化や機能拡充に取り組み、ラインアップをさらに拡充していく。また、当社がアプリ・システムの開発を担い、東京トラベルパートナーズが運営する「旅介TV」で、4月に開幕する大阪・関西万博のパビリオンの様子をライブ配信する予定だ。

 顧客満足度向上とサービスメニュー拡充のため、25年4月1日付で子会社のブロードネットマックス(BNMUX)を吸収合併する。これにより、製品提供から保守サービスまでお客さまへシームレスに提供できる。今後はログデータによる障害発生箇所の見える化サービスや、設備増強・更改のための小工事など保守・修理サービスを拡充させ、お客さまのビジネス発展に貢献していく。

 次世代のネットワークインフラとして、全てが光で完結するオール光ネットワーク(All-Photonics Network)の実現に向け、研究開発部門と連携して取り組みを進めている。先進技術の研究開発にも注力し、25年はさらなる飛躍の年としたい。