2025.01.14 【電子材料特集】各社の事業展開 トクヤマ

長瀬 常務

窒化アルミのフィラーに期待

次期中期経営計画に貢献へ

 トクヤマは1918年設立。電子、健康、環境分野で成長し、研究開発を基軸に価値創造型企業を目指す。

 長瀬克己常務執行役員は「2025年度の半導体市況は前年度に比べ上向く」と展望を示した。長瀬氏は電子先端材料統括本部長、先端材料部門長、ニュービジネス本部長を兼任する。

 24年度の市況は数量面で回復にまだ力強さが見られないが回復基調にあり、26年度には22年度の数量的ピークに追いつく可能性も見込む。

 最先端半導体パッケージ向け放熱材料として開発する窒化アルミニウムのフィラーが次期中期経営計画に貢献する見通し。樹脂に充塡(じゅうてん)した際の流動性に優れ、熱伝導率を大きく向上させる。人工知能(AI)データセンターで需要の高まる広帯域メモリー(HBM)などの封止用途を期待する。

 窒化アルミは絶縁性の高さから、高電圧が必要な電鉄や風力発電などで用いるパワー半導体の絶縁基板としても需要拡大を見込む。

 実績ある半導体の成膜装置用ヒーター部材も26~27年に出荷を伸ばし利益を上げる。

 車載向けには靭性(じんせい)が高く振動対策に有利な窒化ケイ素基板の伸びを予測。同社の先進技術事業化センター(山口県柳井市)でかねて開発を進め、次期中計から貢献を見込む。

 より割れにくい金属ベース基板(IMS)用の絶縁樹脂に入れる放熱フィラーとして、窒化ホウ素の引き合いも増える。凝集構造により放熱性能を発揮しやすくした。ハイブリッド車向け需要があり、次期中計でも早期に貢献する。

 シリカは半導体ウエハーを平坦にする化学的機械研磨(CMP)スラリーで26年ごろから拡大を予測。先端半導体向け放熱フィラーも伸ばす。

 中国法人の徳山化工(浙江)が取り組む風力発電装置用接着材の増粘剤など電子材料以外の用途も広げる。

 長瀬氏は25年を「開発に投資してきた結果を事業化につなげる時期」とし次期中計を見据え取り組む。