2025.01.17 【情報通信総合特集】情報サービス トップに聞く 25年の見通し・経営戦略 大塚商会 大塚裕司社長
DXとAIで共に成長
販売促進活動の情報を集約
堅調なIT投資需要に後押しされ、昨年12月に、1961年の創業以来初めて連結売上高が1兆円を突破した。2012年の売上高が4800億円、そこからウィンドウズ7の入れ替え特需で大きく成長し、コロナ禍もありながら着実に業績を伸ばしてきた。
32年前に今の大戦略を含めた基幹システムのデザインを立ち上げ、データに基づく科学的営業活動を続けてきた。その結果、生産性と業務効率を高め、従業員数は1万人いない規模で、1兆円企業に成長できた。そのノウハウを少しでも中堅・中小企業に提供をしていきたい。
コピー機やパソコンの入れ替え時に、クラウドサービスも同時に薦めるなど、幅広い商材やサービスを生かして企業の課題を解決する「オフィスまるごと」が当社の特色だ。結果的にまるごとの意識が成長に結び付いた。オフィスサプライ事業「たのめーる」やIT支援総合プログラム「たよれーる」など、ストックビジネスも順調に伸長している。次の目標である「100年企業」に向けても、やるべきことはこれまでとは変わらない。
ただ取引がある約29万社の3分の2は依然として単品取引にとどまる。顧客の声に耳を傾け課題を解決していく複合ソリューション提案の余地はまだまだある。
そのためのマーケティング強化に向け、昨年7月に「まるごとマーケティング(MM)戦略推進事業部」を立ち上げ、オフィスまるごとを軸に全社組織を再編した。
これまではコピー系、ネットワーク系、コンピューター系と部門ごとに販売促進活動を展開していたため、担当する製品を売ることがメインになって、営業が現場で入り乱れることもあった。情報を集約することで、数年後には全社マーケティングをコントロールできるようにしたい。
生成AIの活用では、コパイロット、チャットGPT系、大規模言語モデル(LLM)の三つのレイヤーで、顧客企業にどう使いやすく利用してもらうかが今のテーマ。言語系に強い、画像が得意といったAIの特長は組み合わせで結果が変わってくる。「マルチAI」の研究を進めていく。2月5日からの実践ソリューションフェアもAIを主軸に据えた。
25年のスローガンは「お客様に寄り添い、DXとAIでお客様と共に成長する」。日本企業が強くなるには、まだまだ生産性を上げる必要がある。
10月にはウィンドウズ10のサポート期限の終了を控え、ウィンドウズ11への移行が本格化する。ウィンドウズ7の入れ替え時は一過性の特需を獲得できて終わったが、「DX統合パッケージ」などの商材で特需後の成長も維持できるようにしたい。