2025.03.06 エディオンのインバウンド事業戦略 「超・多国籍対応」「買い物観光」が軸
エディオンはインバウンド向けの新たなサービスを開始した
エディオンは5日、エディオンなんば本店(大阪市中央区)でインバウンド事業の戦略発表会を開催した。「超・多国籍対応」と「『買い物観光』を楽しめるスポット」の二つを軸に、日本スタイルの家電量販店の魅力を発信しながら事業を展開していく。業界初となる外国人向けのショッピングツアーガイドサービスと、購入商品を当日中に宿泊先などへ配送するサービスを同日始めたことも発表した。
過去最高の訪日外国人
2024年の訪日外国人客数は過去最高を記録し、韓国、中国、台湾、香港、アメリカの五つの国・地域で全体の7割を占める。また、外国人旅行客の消費額総額も前年比1.5倍超となり、過去最高を更新。その中では買い物代が宿泊費に次いで多く、構成比が23年よりも拡大した。
同社でもなんば本店など都市型で免税対応可能な店がけん引し、インバウンドによる売り上げはコロナ前を超える水準で伸びている。24年度の売り上げは23年度の2倍で推移し、訪日客数も2倍に増えた。
4月に大阪・関西万博が開幕することから、万博に出展する約160カ国・地域からの訪日客を起点に大阪から新たなインバウンドの潮流が生まれることを想定。髙橋浩三代表取締役社長執行役員COO(最高執行責任者)は「インバウンド市場(の拡大)は、エディオンにとっても大きなビジネスチャンスと捉えている」と話す。
超・多国籍対応として、多言語やエリアに合わせたニーズへの対応を進める。
日本スタイルの家電量販店の魅力
買い物観光を楽しめるスポットとしては、家電以外も取り扱う日本スタイルの家電量販店の魅力の認知拡大や荷物の預け先・保管場所への対応を図る。
具体的には①インバウンド専門バイヤーの新設②ショッピングツアー③当日配送サービスを実施する。
インバウンド専門バイヤーは、国別の購買データの分析などにより、訪日外国人観光客のニーズに合わせた商品選定・売り場戦略に取り組むほか、インバウンド向けの商品開発にも取り組んでいく。
ショッピングツアーは、専任スタッフが来店客の言語に合わせてガイドする。Webサイトからの事前予約制で、家電・土産選びや免税手続きのサポートや、家電の使い方の説明などを行う。外国籍のスタッフが約100人在籍しているなんば本店からスタートし、英語や中国語、韓国語など最大11言語に対応する。
同店4階のパウダールームにおける最新理美容家電の体験など、体感重点のツアーを用意する。今後、インバウンド需要の高い店舗を中心にサービスの拡大を検討していく。インバウンド営業部の浅生佳壽彦部長は「日本ならではのショッピングを体験してもらい、業界に新たな価値をもたらしていきたい」と力を込める。
配送サービスは、Uber Eats Japanが提供する「Uber Direct」を活用し、Uber Eatsの配達員が当日中に購入品を配達する。配送エリアは半径5キロメートル圏内、利用料金は1000円(税込み)、受付時間は午後7時まで。大阪市中央区にあるなんば本店、心斎橋店、道頓堀店の3店舗からスタートし、今後、対象店舗の拡大を検討する。
エディオンなんば本店店長の木下智博執行役員は「日本時間を『おもてなし』の精神で(当店での買い物を)最高の時間にしたい」と述べた。