2025.03.18 ウイングアーク1stが新物流2法へ対応 業務改善や労働時間削減で成果

IKZO Onlineなどを活用したソリューション

ウイングアークの物流ソリューションウイングアークの物流ソリューション

 企業のデータ活用を支援するソフトウエアやクラウドサービスを手掛けるウイングアーク1st(東京都港区)は、経済産業省の実証事業に参加し、デジタル技術を駆使した業務改善や労働時間の削減で成果が得られたと発表した。トラック運転手が不足する「2024年問題」を踏まえた新物流2法への対応が求められる中、先進的な事例として注目を集めそうだ。

 今回の取り組みは、23年度補正予算による「荷主企業における物流効率化に向けた先進的な実証事業」。この実証に総合物流事業を展開するハルテGC(大阪府東大阪市)が申請し、採択された。今回、同社がウイングアーク1stと連携して昨年7月から1月にかけて実施した実証の成果を公開した格好だ。

 DX(デジタルトランスフォーメーション)を生かす経営で中小運輸事業者を支援したり積極的な補助金活用をサポートしたりするため、運輸デジタルビジネス協議会やサスティナビリティ・DX推進協議会とも連携している。

 新物流2法の施行に伴い、運送契約の書面化や実運送体制管理簿の作成といった業務のデジタル化での対応が必須だ。ウイングアーク1stはこうした要請に応えて、物流業務のDXを支援するプラットォーム「IKZO Online」や運送会社向け経営分析システム「IKZO Analytics」などを提供している。

 実証では、受信したFAXを自動的にPDF化し、各種システムと連携。最終的には、互換性と汎用性が高いファイル形式「CSV」のデータとして、物流DXプラットフォームなどに自動で格納させることに成功した。

 こうした仕組みを利用する物流事業者には、業務効率化という効果をもたらした。荷主と協力会社が結ぶ運送契約などのコミュニケーションをミスなく円滑に行えることを確かめたという。

 さらに、6人の全体労働時間が2カ月で2238時間なのに対し、475時間の残業が発生していたが、労働時間から2.3%削減する成果も獲得した。特に業務負荷が大きい管理職2人については、事業実施前との比較で労働時間を7%、残業時間で11.4%削減することに成功した。

 新物流2法は、物流効率化法と貨物自動車運送事業法を指す改正法で、物流業界の持続的な成長に向けて昨年5月に公布された。4月1日には、荷主や物流事業者に物流効率化のための努力義務を課す規制措置などが施行される。

 2法への早期対応が求められる中でウイングアーク1stは、運輸や物流に携わるさまざまな立場の課題を解決することを目指し、運送契約や伝票表受信などの業務のデジタル化を後押しすることに意欲を示した。