2025.03.21 【九州産業特集】QUEST IoTなど人材育成を教育で支援
ETロボコン九州大会(2024年)
QUEST(福岡市早良区)は2025年度、教育事業と、会員企業との連携やその事業のアドバイザーなどを主力事業に、ETロボコンへのサポートも継続する。馬場伸一理事長は「産業界自体が変わってきているので、変革をきちんと後押しできるような感じで動ければ」と話す。
教育ではベーシックな部分のニーズが増えており、車載系のモデルベース開発など、改めてIoTや組み込みの領域の人材を育成しなければという機運も感じられるという。
新人教育以外ではネットワークとセキュリティーが増加傾向。IT事業者向けのプログラミングではなく、感染後の拡大を防ぐ部分を含めての意識付けといったエンドポイントセキュリティーの教育を1カ月といった新しい試みもあった。
24年度からは文部科学省委託の「地方やデジタル分野における専修学校理系転換等推進事業」で、九州技術教育専門学校などの「IoTイノベーションデザイン学科新設のためのカリキュラム開発事業」の検討会に地域貢献の一つとして参画。
「新しい時代のイノベーティブ人材を輩出する」を掲げたこの事業は、九州地域の専門学校で半導体関連にも対応できる人材を育成しようというもので、3カ年計画。QUESTはIoTを検討するチームで、初年度の今年度はIoTの基礎で、次年度は応用やクラウドとの連携など。最終的にはもう一方のUX(ユーザーエクスペリエンス)デザインと、総合的なカリキュラムへの構築が期待されている。
組み込みとは少し異なるが、ソフトウエア産業全体はローコード、ノーコードの方向に進んでいる。それで開発する側に対し、「環境を構築する側は100分の1の人数でいいが、能力的には100倍ないと。その意味でノーコードの方向に進んでも人材育成は必要」とみる。
一般向けのAI(人工知能)入門講座は好評で、回を重ねている。「これまでの産業界が再構成され、付加価値としての捉え方が変わってきている」と話す。ソフトの制作側とエンドユーザーが直接結びつくこともみられ、今後はITやIoT関連ではない企業に向けた講習・研修も、依頼があれば検討していく。