2025.05.15 NTT、空中に触感生み出す新技術 デバイスなしで自在調整

超音波で空中に多彩な触感を再現

 NTTは、超音波を皮膚に集中させることで生まれる力の感覚に特定周波数の振動を加えると、何もない空中に多彩な触感を生み出す新技術を開発した。従来の超音波技術で表現できる触感は微弱で単調なものに限られていたが、超音波に動きの要素や特定の周波数を加えることで、強い力やさまざまな触り心地を提示できるようになる。デバイスの装着なしで触感を再現できるため、遠隔医療やゲームの体験向上などへの応用が期待されている。

 鍵となったのが、超音波によって感じられる力を強める主要因の特定と多様な触感を再現するための「超音波触感シンセサイザ」の構築だ。

 人は超音波焦点に触れると微弱な力を感じるが、この焦点を肌の上で5ヘルツで回転させると感じられる力は20倍程度まで増強されることは分かっていた。今回の研究では、この力の要因を特定するため、超音波の焦点を回転させたときに皮膚に現れる5ヘルツの振動に着目した。

要因を検証

 実験では力を強める決定的な要因が「刺激点の5ヘルツ回転」と「5ヘルツの皮膚振動」のどちらになるかを検証。刺激点の回転が皮膚振動と比べ約6倍の強さを発生させることを割り出した。この結...  (つづく)