2025.06.06 【開発のキセキ㊦】エクセディ スマートロボットサービス「Neibo」 課題を自分ごとに捉えるチーム 一丸で未開拓の領域に挑む

Neibo名称の由来:コンセプトの「ユーザーのやりたいことを叶える」という意味の「Enable」とロボットを表す「bo」の組み合わせ。ロゴはboの部分でロボットの目を表しており、傾いたeで笑顔を表現している。

三浦氏三浦氏

 駆動系部品メーカーのエクセディが開発した自律走行のスマートロボットサービス「Neibo(ネイボ)」。この分野は未開拓の領域だったが、自社でほとんどを開発し、商品化にこぎつけた。同社でスマートロボットプロジェクトのプロジェクトディレクターを務める三浦良太氏への取材で、さらにネイボ開発の裏側を探ると、奮闘の努力があった。

開発魂が社内に伝播
 
 三浦氏の発案によって始まったロボット開発のプロジェクト。ロボットを提案した当初は社内からの反応は薄かった。

 ただ、製造・物流業界に目を向けると、省人化を促す機運が着実に高まっていた。ロボット開発の必要性を感じていた三浦氏は、自作のロボットや新事業を募る社内のコンテストを通して、周囲の人たちを説得した。

 その結果、三浦氏の熱い呼びかけに共感するメンバーが集まり、22年4月にロボット開発のプロジェクトが動き出した。

 とはいえ、ロボットの開発は初めての経験。メンバーたちは高等専門学校の教授による出張授業に参加するなど、基礎から学んだ。

 ただ、三浦氏は「あまり苦労は感じていなかった」と振り返る。

 簡単な挑戦ではなかったが、若手中心のメンバーたちは前向きに取り組んだ。

 これまで携わっていた自動車部品に比べて、完成品は成果が目に見えやすい。それも、メンバーたちのモチベーション(やる気)向上につながった。

 開発は、三浦氏が指示を出す形で進めた。メンバーたちを成長に導こうと高度な要求を出すこともあったが、メンバーたちから「できない」という返答が来ることはなかった。三浦氏は「今では彼らは少しの指示で意図を理解してくれる。ロボットについても私に負けない知識を持っている」と話す。

 そうした努力が結実し、24年9月に発売したのがネイボだ。マーケティング企画チームの芹澤友希氏は「チームの人たちは仕事の課題を自分ごととして捉えて取り組んでいる。ロボットをお客さまの役に立たせたいという使命感が強いと感じた」と、チームの空気感を明かした。

アプリで輪を広げる

 ネイボに対する顧客の反応は上々で、追加の注文も続々と舞い込んでいる。

 三浦氏がこうした実績を土台に視野に入れているのが、「ロボットと生成AI(人工知能)との親和性」というテーマだ。「人の感情や要求に対しても、適切に回答できるようにしていきたい」という構想を温める。

 まずは、アプリを販売するストアを近く開設する計画だ。三浦氏は「アプリをダウンロードすれば、防犯や運搬という動きを充実させることができる。アプリメーカーにも賛同してもらいたい」と意欲を示す。

 「ネイボの周りにどんどん人が集まる」。三浦氏の視線の先には、そんな世界がある。チーム一丸でロボットをより身近な存在にする挑戦の舞台は、一段と広がろうとしている。
(おわり)