2025.07.11 【電子部品技術総合特集】次世代AIサーバー/DC向け技術開発を活発化 電子部品各社、最重要市場に位置付け 高速大容量・低消費電力に対応

液冷サーバーソリューション用コールドプレート

 電子部品メーカー各社は急速に進化するAI(人工知能)サーバー/データセンター(DC)向けの技術開発を活発化させている。次世代AIサーバー/DCの高速大容量化への対応や低消費電力化要求に照準を合わせた新製品の開発・投入を加速させる。

 AIサーバー/DCのグローバル市場は、生成AIの普及拡大や企業のDX投資拡大などに伴い、今後も中長期で高い成長が見込まれている。高性能なAIサーバーは、汎用(はんよう)サーバーと比較し、電子部品の員数増も見込まれる。このため、電子部品業界では中長期の事業拡大に向けた最重点市場の一つにAIサーバー/DC市場を位置付ける企業が増加。同市場への技術マーケティングを強化し、次世代のニーズを先取りした製品開発を加速させている。

 AIサーバーメーカーの搭載部品に対する仕様要求は厳しく、極めて高い品質性能や、長期間にわたる24時間稼働でも故障しない長期信頼性などが必要。これらはいずれも、車載用電子部品への要求事項と共通項が多い。

 DC市場では、2023年に800ギガbps伝送対応製品の投入が開始された。DC内の光伝送モジュールは、今後は1.6テラbpsへの移行が進む見通しで、これらに対応した電子部品開発が進んでいる。

 また、サーバーの高性能化は、その処理に要する消費電力量を爆発的に増大させている。AIサーバーは、GPUの高性能化により、従来のサーバーユニットとは桁違いの電力が必要。さらに次世代のDCでは、GPUの性能が一段と高性能化し、電力消費量は一層増加する。

 DCではサーバーのマザーボードが消費する電力だけでなく、冷却用空調設備や付帯設備などでも膨大な電力が必要。全世界の総発電量に占めるDC消費電力は30年には30%程度まで上昇するとの予測もある。このため、電子部品各社は、次世代DCの省エネ化に寄与する技術開発を加速させている。

 その一つとして、サーバー液浸冷却に対応可能な部品開発が進められている。サーバーの高性能化に伴う発熱量増大に対処するため、次世代DCでは冷却方式の液浸冷却シフトが予想され、そうした技術革新に対応できるコンデンサーなどが開発されている。また、サーバーで使用される電力の高効率化のため、ラックへの電力供給を一括で行う「集中給電システム」なども提案されている。

 最近のAIサーバーは、配線の電力損失を抑えるため、電源ラインの48Vの高電圧への移行がトレンド。その際に、電源供給ユニットで使用される平滑およびデカップリングコンデンサーとして、定格電圧100V品の大容量化要求が強まっており、こうしたニーズに対応した製品も開発されている。

 さらに、CPUとメモリー間の通信を銅から光配線に置き換えることで電力ロスや発熱量を低減する光電融合技術も追求される。