2025.08.29 「アジュール」で仮想デスクトップ、米新興と代理店契約 CTC
Nerdio Managerの利用イメージ
伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は29日、マイクロソフトのクラウドサービス「アジュール」上で仮想デスクトップ(VDI)管理ソリューションを提供する米Nerdio社と販売代理店契約を締結したことを明らかにした。アジュール・バーチャル・デスクトップ(AVD)の管理や設定プロセスを簡略化する「Nerdio Manager」を国内で初めて提供する。3年間で50億円の売り上げを目指す。
CTCによると、VDIはこれまで、米シトリックス・システムズの「Citrix」やVMware社の「Horizon」が広く活用されてきたが、クラウド活用やリモートワークの進展に伴い、安価で利用できるAVDに注目が集まっている。ただ、AVDはマイクロソフトが部分的な機能しか提供していないため、設定や運用が難しいといった声も寄せられていた。
この課題に対応するため、CTCが着目したのがNerdio Managerだ。CTCエンタープライズ事業グループの渡邊史比古シニアスペシャリストは「コスト削減や導入の加速、運用の効率化を強力に支援する製品で、AVDの管理を簡単にし、専門ツールを使うよりも低コストで構成できる」と力を込める。
アジュールの従量課金を最適化するオートスケール機能により、AVD管理の操作性の向上と自動化で運用コストを削減するという。
渡邊氏は「時間帯やセッション状態、メモリー利用状況など多様な条件で緻密な電源管理が可能。使われていない仮想マシンの無駄な実行を抑制し、月額の運用コストを大幅に下げることができる」と説明する。適切なスケーリングと管理を行うことで、フル稼働時のコストを最大で80%以上削減できた事例もあるという。
マイクロソフトのウィンドウズ365やIntuneで管理されている端末でも一元管理でき、VDI環境のイメージ作成やアップデート適用といった作業の自動化、バージョン管理にも対応する。
障害検知や問題発生時は自動的に修復をする機能も備える。画面をライブ表示しながらチャットで問題解決ができるトラブル時のリモートサポート機能も用意した。
Nerdio社は評価額10億ドル以上のユニコーン企業。VDI管理サービスで急成長している。CTCは多くのVDI構築実績を持ち、Nerdioのライセンス販売に加えて、導入支援やサポート窓口などのサービスも提供する。
今後は、Nerdioが提供するソリューションのメニュー拡充と、CTC独自のクラウドサービス化も視野に入れ、顧客の業務効率化とコスト削減につなげていく方針だ。