2020.10.29 【中・四国版】NHK広島拠点放送局地域から信頼される放送局へ 絹川智紹局長に抱負を聞く

絹川 局長

 7月1日付でNHK広島拠点放送局長に絹川智紹氏が就任した。今年度は被爆75年という節目の年。同時にこれまで経験したことのない新型コロナ禍での取り組みと合わせ、赴任の感想と今後の抱負を聞いた。

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 ―広島拠点放送局に赴任しての感想は。

 絹川局長 8・6は被爆地の放送局としてメーンテーマにして代々伝えていかなければならないと思う。外から見ているのと広島で体感するのとでは全く違う。被爆建物も現地に足を運んでこそ見えてくるものがある。

 ―広島の街の印象はいかがですか。

 絹川局長 都市計画が行き届いているのでしょうか、緑も多くて川もたくさんあり、非常にいい街という印象です。尾道にも行きましたが、昭和の情緒たっぷりでした。山あり海あり、カープありで気に入っています。

 ―今年度の重点施策は。

 絹川局長 今年度の大きなテーマは「被爆75年」ということ。西日本豪雨から2年というのもあるが、今年は被爆された方の平均年齢が83歳になり、若い人たちに原爆のことや平和の大切さをどう伝えていくかも我々のテーマになっている。被爆75年のテーマとしてリアリティを置いている。10代、20代の若い世代にリアリティを持って伝えたい。特集ドラマ「太陽の子」や、若者向けの音楽番組「れいわのへいわソング」などをつくった。一部表現の部分でお叱りを受けたが、「ひろしまタイムライン」も75年前にSNSがあったらという設定で取り組んだ。これらはある種のトライアルであり、来年度以降も反省を生かして次につなげていきたい。

 ―拠点放送局としての役割は。

 絹川局長 これまでも中国ブロックの拠点ではあったが、昨年から一層役割を明確にした。2年前にも大雨の災害があった。中国ブロック内で災害取材を経験したディレクターが増えているので、ブロック全体の災害報道に役立てていきたい。

 ―今年は新型コロナウイルスの影響を大きく受けていますが、コロナ禍での地方放送局の役割は。

 絹川局長 役割という意味では大きく二つある。一つは新型コロナウイルスの正確な情報をお伝えすること。もう一つは新型コロナの影響で困っている人たちがたくさんいる。たくさんいる人たちを応援するような番組づくりが、NHKに求められている大きな役割かと思う。

 ―自主制作番組にどのようなものがありますか。

 絹川局長 今年も生放送でプロ野球ドラフト会議直前に「みんなのカープ県民大会議」を放送した。西日本豪雨2年を振り返って教訓をどう生かすかという番組も放送している。広島拠点放送局には8Kハイビジョンシアターがある。パブリックビューイングみたいなので、カープ戦をはじめ、サッカーのサンフレッチェ広島、バスケットボール(ドラゴンフライズ)などのスポーツイベントに適している。音が素晴らしい。

 ―今後の抱負をお聞かせください。

 絹川局長 地域から頼りにされる放送局を目指していきたい。コロナ禍の中で正確で頼りになる情報が大切。頑張っている方の紹介を通して生活のヒントにしていただければいいと思う。

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 【絹川智紹局長のプロフィル】▽生年月日=1964年9月27日生まれ(56歳)▽出身=福岡県▽最終学歴=88年早稲田大学卒▽職歴=同年日本放送協会入局・大分放送局、93年大阪放送局放送センター、06年仙台放送局放送部副部長、08年報道局取材センター(経済)副部長、10年福岡放送局放送部副部長、15年報道局副部長(ニュースウォッチ9編集責任者)、16年報道局取材センター経済部長、19年放送センター建替本部専任局長、20年7月広島拠点放送局長。現在に至る。「通信を担当した時、ひたすらたくさんの人に会い話を聞きまくりました。やりがいがあった。話が新鮮で楽しかった」▽趣味=登山と自転車。「既に宮島の弥山には登りました。比婆山、大山に登る予定です」。自転車は既にしまなみ海道を走破。ヒルクライムが得意という健脚▽好きな言葉=「楽は苦の種苦は楽の種」。