2020.11.24 ブラジル著名企業に供給、拡大に弾み自然電力、加速する太陽光事業
ブラジル・パラー州に建設されたメガソーラー。20年3月から建設を進めていた
新電力の自然電力が、ブラジルでの太陽光発電事業を加速させている。20年だけで、首都・ブラジリアなどにメガソーラーを4件、出力計約4.7MWを完成させた。21年も数件の発電所計画を完工させる予定だが、ブラジル国内の再生可能エネルギー志向の高まりから引き合いの多さも続き、ビジネス拡大を狙う。
同社によると、ブラジルは、経済成長などに伴い電力需要が増加。これまで電力を水力に依存してきたが、国が、太陽光や風力などの再エネも拡充させる施策を進めている。
その推進策の一つが、15年11月に関連法が改正された「遠隔ネットメータリングシステム」という仕組み。送配電網から購入した電力から、再エネの発電量分を差し引くことができるほか、発電量が消費量を上回った場合、余剰分を翌月に繰り越すこともできる。
既に広く普及しているアメリカでは、全50州のうち43州やワシントンDCで導入済みだ。自然電力グループも、この制度を活用して電力供給し、太陽光発電事業を推し進めている。
また、同グループが現地でパートナー役に選んだのが、不動産開発などを手掛ける「エスパソ・イプシロン」。現地の合弁会社「シゼン・エネルジア・ドゥ・ブラジル」と18年にパートナーシップを発表した後に、再エネ分野に参入した。自然電力ブランディング&コミュニケーション部は「発電所建設は現地での土地問題も大きく絡む。現地の不動産のノウハウや慣例を周知する企業と組むことで、事業にスピード感を出せる」と狙いを語る。
自然電力グループは、ブラジルに19年7月に約1.1MWの発電所を完成させたのを皮切りに、20年に入って、ブラジリア連邦直轄区などで4件相次いでメガソーラーを完成させた。「ようやくエンジンがかかり、うまく計画が回り始めた」(同部)結果だ。
北部のパラー州で初めて建設した発電所は、出力約1.4MW。20年10月にできあがったばかりで、5件の中では最大規模。発電した電力は、ラテンアメリカで最大の資産を有するブラジル銀行の35支店に供給される。
また、ブラジリアにある「プレジデント・ジュセリノ・クビシェッキ国際空港」の入り口道路脇に建設された発電所は、20年9月に系統に接続して稼働。約1.3MWで、発電した電力は空港に供給。消費電力の約6%を賄う。空港側からは、「目に付く場所にあるため、外観にこだわりたい」との意向が伝えられているという。
それぞれ、ブラジル国内で知名度の高い企業が供給先となったことで、自然電力は今後の事業拡大に好影響を及ぼすと歓迎している。「満足させるクオリティーの高い電力を供給することを証明できれば、今後、ビジネス上の大きなインパクトになってくるはずだ」(同部)という。