2021.07.02 【家電総合特集】ニューノーマル対応の提案本格化空気清浄機や除菌装置の需要急増
大画面4Kテレビは、エンタメ機器としてのポジションをコロナ禍で改めて強めた
アフターコロナも視野、IoTが鍵を握る
国内の家電市場は新型コロナ禍となって2度目の夏商戦を迎えている。2020年度は巣ごもりやテレワークのほか、衛生・清潔ニーズに応える空気清浄機や除菌装置などの需要が急増し、家電市場は活況を呈した。生活必需品としての家電の重要性が改めて認識されるとともにIoT化も進んだことで、ニューノーマル(新しい日常)に合わせた機能の実装やサービス連携の提案も本格化し始めている。
昨年度は、年間を通して巣ごもりの影響が続いた。ホットプレートやたこ焼き器のようなおうち時間を楽しむ調理家電をはじめ、空気清浄機や加湿器、除菌装置といった中小型家電から4Kテレビやエアコン、ドラム式洗濯乾燥機などの大型家電まで、幅広い家電が売れた。大画面4Kテレビは、動画配信サービスの普及も後押しし、家庭内におけるエンターテインメント機器としてのポジションを再び強めたといえよう。
一方、在宅時間の増加で外出する機会が減り、身だしなみに気を使う頻度が下がったことで、電気シェーバーやヘアドライヤーの需要が低迷するなど、用途によるコロナの明暗がはっきりと出た。ただ家電各社も在宅勤務の常態化などを受け、新しい生活スタイルに合った機能を家電に実装するなど、変化への対応を急いでいる。例えば、洗濯機で除菌・消臭に対応するコースの搭載や、電気シェーバーで伸びた長いひげも簡単にそれる性能の実現--などだ。
ウィズコロナで過ごした1年を経験し、家電の機能にも変化が出てきている。こうした機能は、巣ごもりが依然として続いていることもあり、需要の喚起にもつながっている。
高付加価値な製品としてこれまでも提案されてきた次亜塩素酸やオゾン、紫外線による除菌装置は、除菌性能が注目されて高額な製品でも売れるようになった。さまざまな場所で設置が当たり前となり、アフターコロナでも需要は継続するとの見方が大勢だ。
続く巣ごもりや変化した生活スタイルの影響から、今年度も家電市場は大きく落ち込むことがなく、堅調に推移すると家電各社は口をそろえる。そうした中、鍵を握るのがIoT家電の普及だ。
ここ数年でIoT家電のラインアップは大幅に増えている。テレビやブルーレイディスクレコーダーといったAV機器だけでなく、冷蔵庫や洗濯機、オーブンレンジなどの白物家電でも急速に対応機種が増加している。スマートスピーカーとの連携で音声操作への対応も急ピッチで進み、生活密着型の白物家電でもIoT時代の提案が本格化している。
ただ、IoT家電の価値をまだ提案しきれてはいない。Wi-Fiへの接続率は決して高くなく、つないでいても活用しているかはまた別問題になる。「まずは接続することが重要」と各社は見ているが、設定の手間から諦めてしまうユーザーも少なくない。
こうした現状の打開策が必要で、各社は、機能や利便性のメリットだけでなく、サービス連携やWi-Fi接続の容易さなどのアピールを徐々に強めている。これらの改善につながる取り組みを、スピード感を持ってバックグラウンドで進めてもいる。
今年度後半戦では、コロナ禍で立ち上がってきた需要に対応しつつ、アフターコロナも視野に入れたIoT家電の製品戦略が、これまで以上にはっきりとしてきそうだ。