東京五輪・パラリンピックという一大スポーツイベントが終わり、国内のテレビ市場は秋から年末商戦に向けた提案活動に移っていく。テレビは大画面高精細4Kテレビを中心に買い替えが進んでおり、この一年は〝巣ごもり〟も追い風となり、寝室や子ども部屋などの2台目、3台目の需要も増えてきている。

　メーカー各社は購買意欲を刺激するため、高画質、高音質というテレビ本来の性能追求だけでなく、インターネット動画視聴なども含めてコンテンツを楽しめる機能を強化した提案を加速していく構えだ。

　国内のテレビ市場を見ると、この数年はリビングなどの大画面テレビの買い替えが着実に進んできている。電子情報技術産業協会（JEITA）の出荷実績で見ると、最新の7月実績で前年同期比割れをしたものの、6月までは薄型テレビの出荷台数は15カ月連続前年同期比プラスとなり、うち高精細4Kテレビは16カ月連続プラスだった。

　より自然に近い映像が楽しめる有機ELテレビは好調で、6月は同63.9％増の7万4000台・182億円、7月は同15.6％増の5万1000台・127億円だった。

　主要各社の2021年モデルは、高画質化と高音質化に加え、スマート化が進む。あらゆる映像を高画質処理する画像処理エンジンにも磨きがかかり、各社は人工知能（AI）を活用した処理も本格化。各社がそれぞれの観点から画質を追求しチューニングした映像は特徴が出ており、販売の際の差別化ポイントにもなっている。

　音質面ではスピーカーの配置と、デジタル処理技術を駆使し、大画面に見合った迫力のある音づくりを目指している。特に最新の上位機種は、映画館と同じドルビーアトモスなどによる立体音響が楽しめる機種も多い。

　今年の製品で各社が磨きをかけているのがインターネット動画視聴機能だろう。ネット動画も高画質化する機能をはじめ、ネット動画サービスを簡単に視聴できるリモコンなども増えてきている。ネット動画の4K化も進んでいるため、若者層へのテレビの新たな訴求ポイントにつなげていきたいところだ。

パナソニックの主力製品「４Ｋビエラ」

　パナソニックは、家庭で上質なエンターテインメントを楽しみたいユーザーが増えていることに応え、臨場感ある画質、その場にいるかのような音を再現する「4Kビエラ」（有機EL／液晶テレビ）を積極的に訴求する。

映像処理回路を一新、AIで最適画質／音質に調整

　4Kビエラ2021年モデルのフラッグシップモデルが、大画面ハイエンドモデル「4K液晶ビエラ」JX950シリーズ（75V型／65V型／55V型）、「4K有機ELビエラ」JZ2000シリーズ（65V型／55V型）となる。ともに映像処理回路を一新させて、人工知能（AI）技術によって自動で最適な画質／音質に調整する新技術を搭載する。

　放送や映画など100万を超える映像のシーンから構成される学習用データベースを、ディープラーニングを活用したAIが学習し、シーン認識アルゴリズムを生成。シーンに応じて画質・音質を自動で最適化する「オートAI画質」「オートAI音質」を搭載し、自動で最適な画質／音質で楽しむことができる。

　4K液晶ビエラJX950シリーズには、輝度とデザイン性を高めた、独自設計のプレミアム液晶ディスプレーを採用。バックライトを強化するとともに、ディスプレー内部の部材構成を最適化し、自社工場で高精度に組み上げて搭載、液晶ビエラ史上最高クラスの高輝度、高コントラストな映像と、薄型・フラット構造によるスタイリッシュなデザインを実現した。

　音質面では、テレビ背面上部に上向きに配置した「イネーブルドスピーカー」を搭載、立体音響が楽しめる。

　4K有機ELビエラ・JZ2000シリーズは、明部から暗部まで高コントラストを実現する同社独自設計・組み立ての有機ELディスプレー「Dynamicハイコントラスト有機ELディスプレイ」を搭載。「Dot Contrast パネルコントローラーPro」により、パネルの性能を最大限に引き出す。

　音質面では、上からも横からも映像を超えて音が迫る「イネーブルド＆ワイドスピーカー」（音声実用最大出力125W）を搭載する。

　液晶／有機ELハイエンドモデルは共に転倒防止スタンド、スイーベル（首ふり）機能を採用。最新ゲーム機にも採用されるHDMI2.1規格の4K120p入力に加えて、映像の入力から表示までの遅延を抑える「ゲームモード　エクストリーム」も新搭載する。

　さまざまなネット動画配信サービスを視聴するユーザーも増えており、メニュー画面やリモコンのキーレイアウトを刷新。ホームボタンを押すだけで登録されたネット動画のアイコンからアプリケーションを起動できる簡単操作を実現した。