2021.10.21 【あかりの日特集】LED用部品・材料の動向次世代LED照明に照準

照明用LEDパッケージ

 電子部品・素材メーカーによるLED関連部品・材料の技術開発が活発化している。各社は、省エネ照明であるLED照明の高機能・高性能化や高効率化、長寿命化などに向けた技術開発を推進。色のバラつきを抑えて、発光効率をより向上させた照明用LEDパッケージなど、付加価値の高い製品の開発により、差別化を図っている。

 LED照明の性能向上にはデバイス技術の高度化が不可欠。部品各社は、次世代LED照明に照準を合わせ、LEDパッケージの小型化・高性能化・高出力化の追求や、高輝度LED向けの耐熱部品開発、LEDの長寿命化、ノイズ対策、耐光性向上に向けた新製品開発などを活発に行っている。

 LED用材料は、LED照明の高機能・高性能化や軽量化、コスト削減などを目標とする技術開発に力が注がれる。ランプソケット材では、アルミやセラミックからの置き換えを目指した樹脂材料の開発が盛んだ。高熱伝導性で放熱性に優れた樹脂の開発で、安全性向上や高い成形性、軽量化、コスト低減などが提案されている。

 LEDチップを保護する封止材では、高い耐熱性や耐光性を有し、周辺部材の腐食を防ぐためのガス透過性低減を図った材料開発が進んでいる。

 一般的にLED照明は、複数の青色LED素子と蛍光体を組み合わせて製造されるため、材料のバラつきによって同じ色温度でも青っぽい、黄色っぽいといった色のバラつきが生じる。このバラつきから、一つの空間に多数の照明を配置した際に色の違いが出てしまう。

 これらに対し、部材の選定や製造の条件の厳格化などで、従来に比べて大幅に色のバラつきを抑えることができる高付加価値LEDパッケージの開発などが進む。

 さらに、素子などの適用部材の見直しや改良を行い、光の取り出し効率と放熱性を高めることなどにより、さらなる発光効率改善を図った照明用COB(チップ・オン・ボード)パッケージなども開発されている。発光効率の大幅な向上を図ることで、より少ない電力で明るく光らせることができるため、照明器具の省エネ化やコストダウンへの寄与が期待される。

 同時に、照明用LEDに要求される、長期間使用しても明るさを維持できる長期信頼性、耐ガス特性の改善も追求されている。これによって、発光効率向上による省エネ(CO₂排出量削減)だけにとどまらず、LED光源や照明器具の交換、修繕間隔を長く取れるようになるため、環境負荷低減への効果が見込まれる。

 商業施設(店舗、ホテル、レストランなど)向けのプロフェッショナル照明用のCOBパッケージでは、これらの用途で求められる緻密な配光制御や、器具のデザイン性向上ニーズなどに対応するため、点光源を追求した「狭LES(発光径)」によるデザイン性向上なども提案されている。

 さらに、LED照明用コネクター/ホルダーの新製品開発や製品ラインアップの拡充も進んでいる。

コネクター活性化

 LED照明では、工程の簡略化や品質のバラつきを解消するため、従来の手はんだによるケーブル接続からコネクター接続へと切り替えるニーズがあり、LED照明用コネクター市場の活性化が期待されている。小型で圧着作業がいらないLED照明給電用基板対電線用コネクターや、低背化を追求したLEDモジュール基板接続用コネクターなどの開発が進み、標準品・カスタム品を含む新製品開発が進展。「電安法完全準拠」や「VA化」に向けた開発なども重視される。

 LEDダウンライト用では、LEDの取り付けプロセスを簡素化するLED照明用COBアレイホルダーの開発も進展している。リード線をワンアクションで容易に接続できるLED照明用の小型リードソケットでは、細い銅線をより合わせた「より線」に対応する製品なども開発されている。