2022.01.14 【電子材料特集】各社の事業展開メルクエレクトロニクス

永田 社長

半導体材料
研究開発と供給体制を強化

 メルクエレクトロニクスは、ドイツの大手化学メーカーであるメルク(Merck)のエレクトロニクスビジネスの日本法人。液晶ミクスチャーなどのディスプレー向け材料の輸入販売および半導体製造向けと特殊化学品の研究開発、製造、販売を行う。

 同社のビジネスは①セミコンダクターソリューションズ②ディスプレイソリューションズ③サーフェスソリューションズで構成される。今年1月1日付で同社の代表取締役社長に就任した永田勝社長は、「2021年度(12月期)は非常に良い結果で終えることができた。特にセミコンダクターおよびディスプレイソリューションズが旺盛な半導体需要やディスプレー需要に支えられ、非常に好調だった」と話す。

 メルクは19年に米ヴェルサムマテリアルズ社と米インターモレキュラー社を買収。両社との統合が進み、従来とは異なる新たな高付加価値製品の創出や高度な分析技術の活用などのシナジーを発揮している。

 21年にはエレクトロニクス部門のイノベーションと能力向上に向けた新しい成長プログラム「Level UP(レベルアップ)」を始動した。「有機EL材料に加え、半導体材料の研究開発と供給体制を強化する。ディスプレー材料は、メタバースやAR/VR向けなども視野に入れる。半導体の集積地である日本からの情報を発信していく」(永田社長)。同プログラムは①スケール②テクノロジー③ポートフォリオ④ケーパビリティーの四つの重点項目に注力し、世界中のイノベーション拠点で拡張のための投資を実行する。

 同社は、高付加価値の製品開発やサステナブル化、エコデバイス技術などが高く評価されている。グローバル戦略では、中国、台湾、韓国などでの投資を継続。各国のイノベーションセンターを活用し、世界中のマーケットに展開する。

 設備投資は、「レベルアップ」プログラムでは25年末までに総額30億ユーロ以上の大規模投資を行う。日本では、半導体材料やディスプレー材料の製造・研究開発拠点の静岡事業所で21年までに約26億円を投じ、新施設の建設と設備増強を進めた。22年も継続投資する。小名浜工場では21年度下期に2800万ユーロを投じ、シリカベースのエフェクト顔料の第2製造ラインを整備した。