2022.03.24 【電子部品メーカー・商社 中国拠点特集】 エレクトロニクス商社の中国営業戦略マス商事

廣瀬 総経理

ワンストップソリューション推進

 マス商事はヤマハ発動機(ロボティクス事業部)代理店として実装機を中心に、ヤマハ発動機以外も含めてSMTに関わる製造装置を幅広く扱う。国内のほか海外展開する日系企業を主対象に中国(深圳、蘇州)はじめ東南アジア、インド、メキシコに営業拠点を構えている。

 中国はマストレーディング(深圳)をヘッドに蘇州分公司を構えている。

 深圳、東莞、広州を中心とした広東省はじめ華南地区を主要エリアに、蘇州分公司は上海、江蘇省を中心に華東地区や大連、天津など北部地域を担当する。

 マストレーディング(深圳)の廣瀬幸治総経理は「華南地区の日系製造業は昨年9月までは慎重だった設備投資を10月以降は積極的に行っている。EV、スマートフォン関連が多いが、中国ローカル企業では5G基地局、データセンター、大型LEDディスプレー、無線モジュール、デジタル家電などが堅調で投資も増えている」と話す。

 米中貿易摩擦のチャイナリスク回避で東南アジアに生産をシフトした日系製造業が、東南アジアのコロナ感染拡大により、再び中国に生産を戻すといったケースもある。

 廣瀬総経理は「当社は従来は実装機を中心に事業を行ってきたが、顧客では手作業の部分はんだ付けにロボットを導入したり、AGV(自動搬送車)の導入など実装ラインの前後工程まで含めた自動化、省人化の要求が増えている。ヤマハ発動機は実装ラインを1社でそろえられる強みを生かして、ワンストップソリューションを推進する。当社はヤマハ製品を中心に幅広いSMT関連設備を扱っており、実装ライン丸ごと、さらには工場全体の最適化まで視野に置いた提案を広げている」と話す。

 今後の見通しについて「春節明け以降、地域的に新型コロナ感染が広がり、行動制限などの影響があり、また部材不足なども懸念されるが、上期(2021年10月~22年3月)までは昨年並みの推移となり、下期(9月)も不透明ながら市況が急激に落ち込むことはない」と廣瀬総経理は予測している。