2023.01.16 【電子材料特集】東京応化工業 パワーデバイスなど4分野 製品ポートフォリオ構築が強み

種市 社長

 東京応化工業は、2022年度(12月期)は売上高・営業利益ともに過去最高を更新する見通し。半導体市場の好調な拡大が材料事業の伸びをけん引した。

 最近の動向について、種市順昭社長は「22年はウクライナ問題や米中摩擦の長期化などさまざまなことがあったが、安定供給を支えるサプライチェーンの強化を心掛けた。半導体フォトレジストはEUVを含め先端レジスト市場の成長をキャッチアップできている。今は半導体産業が底上げされ、レガシー半導体やパワー半導体も含め脚光を浴びている。当社はフルラインアップの製品展開に努めてきたため、それが奏功している」と話す。

 23年の展望については「若干の足踏みが見え、前半は厳しさが予想されるが、後半に向けて伸びていくとみている」とし、「半導体産業のけん引分野は①情報端末②データセンター③制御系④パワーデバイスの4分野。①と②は直近では伸び悩んでいるが、③は車載を中心に半導体不足が続いており、④はグリーンエネルギーが普及する中で今後さらに伸長する。当社はこの4分野で製品ポートフォリオを構築できていることが強み。今後もこれら分野の成長に向けて手を打っていく」と説明する。

 22年度(12月期)から「tok中期計画2024」(3カ年)をスタートした。五つの戦略(①先端レジストのグローバルシェア向上②電子材料および新規分野でのコア技術の獲得/創出③高品質製品の安定供給とグループに最適な生産体制の構築④従業員エンゲージメントを向上させ人を生かす経営の推進⑤健全で効率的な経営基盤の整備)を通じてSDGsの達成に貢献していく。「22年は1年間をかけてさまざまな仕込みを行った。23年以降、実行に移し、収穫への手を打っていく」(種市社長)。

 同社は熊本県菊池市に高純度化学薬品の新工場を建設することを決めた。半導体フォトレジストでは22年に郡山工場(福島県郡山市)新検査棟が完工し、今後は郡山工場での生産能力向上も図る。御殿場工場(静岡県御殿場市)でもレジスト生産設備を増強する。海外での投資も進める。

 種市社長は「23年度も積極的投資を継続する。半導体産業の潮目が変わり、成長性がより明確化してきたため、材料メーカーとしてしっかり貢献していく」とし、先々に向けた技術開発にも注力、「10年先を見据えた強みをつくっていく」と話す。