2023.03.29 【関西エレクトロニクス産業特集】 関西の最新分野別動向 ロボティクス
「メタバース・トラスト・ステートメント京都宣言」を発表する山下京都府副知事
京都でメタバースに注目
ロボット共生カフェ実証も
京都府のメタバース、ロボットへの取り組みが各方面から注目されている。
メタバースへの取り組みでは、15日に京都府の山下晃正副知事が京都デザイン&テクノロジー専門学校(京都市下京区)を会場に、産官学などの関係者を集めて「メタバース・トラスト・ステートメント京都宣言」を発表した。
京都府、CiP協議会(東京都港区)が中心となって策定した、「メタバースの制作や活用に関わる企業や個人が、セキュアで信頼できるメタバース空間づくりを自主宣言する指針」を公表した。
同宣言に賛同する企業や個人などを募り、安全・安心なメタバース空間で、空間を超えた交流や現実世界にはない新しい体験、ビジネスチャンスの拡大などにつなげることを目指している。
指針は▽01「自由でオープン」(世界中の誰もが自由にオープン参加可能なメタバース空間の提供と素晴らしいイノベーションの創出を目指します)▽02「伝統、地域」(日本の長い歴史や伝統に根差した文化の重層性や多様性を発揮するとともに、地域固有の価値を互いに認め合う「場」として進化します)▽03「海外」(国内外の人々と、距離、時間、費用、言語の制約なく価値を共有できるコンテンツづくりを進めます)-など10の宣言で構成されている。今後、宣言数を増やしていく計画だ。
「人」「価値の共有」「誠実・安心」をキーワードにしたロゴマークも作成した。同宣言の順守を宣言する企業や個人などに自由に使用してもらう。メタバース空間で多様な価値を共有し、新たな可能性を広げる指針にしたい考えだ。
ロボットへの取り組みでは、京都府とロボットのスタートアップ企業や障害者の就労機会を提供するNPO法人などが連携。障害者らの社会参画を支援するロボット共生カフェの実証実験を昨年12月に2回、今年2月に1回、京都府内のカフェで実施した。配膳・接客ロボットや卓上型小型AI(人工知能)ロボットを、アバターロボットとして障害者が遠隔操作する実証実験だ。
今回のロボット共生カフェを企画・立案し3回の実証実験を推進した、京都府商工労働観光部ものづくり振興課の足利健淳課長は「障害のある方などとロボットが共生して働く場づくり、新しい働き方の創出を目指している」と説明する。
今後、機能面の改良や導入しやすいコストなどを検討し、社会実装を目指す。