2023.07.11 【家電総合特集】動向ダイジェスト
新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に移行し、レジャーや旅行などサービス関連の消費が増えている。コロナ下の巣ごもりで家電は需要の先食いが起こった形でもあり、消費傾向の変化と合わせて、今年の家電の動きは鈍い。
ただ、昨年は上海ロックダウンの影響や半導体不足などが深刻だったこともあり、メーカーや製品によって対前年と比べるとまだら模様の状況も見られる。
■高画質化進む4Kテレビ
買い替え需要を軸とする4Kテレビは、有機EL、液晶ともに、新技術の採用などで高画質化に磨きがかかっている。大画面化や高音質化と合わせて迫力ある映像を楽しめる機器として進化している。半面、市場自体は「当初予想よりも弱含み」(テレビメーカー幹部)と、需要に一服感が出ている。ブルーレイディスク(BD)レコーダーは先細りが続くと予想されているが、「推し活」利用など使い方の提案で需要の掘り起こしが鍵を握る。
「ピュア・オーディオ」といったコアなファンからなる年配者層が需要の中心というイメージが強いオーディオ機器も、業界を挙げて若年層へのアプローチを加速している。
同時に、完全ワイヤレスイヤホンやブルートゥーススピーカーといったカジュアルに使えるオーディオ機器が注目を集めるようになっており、高級オーディオにハマる「入り口」に立つ消費者は少なくない。(2、3面)
■省エネ訴求が鍵
家電ではIoT化が加速しており、多くの製品カテゴリーで対応機種が各社から製品化されるようになっている。同時に重要性を増しているのが、IoT化によるユーザーメリットを明確にすることだ。
有料サービスを提供するメーカーも出てきており、単に「つながる」という段階から、その先にある「つながる価値」の提案に軸足は移りつつある。
エアコンや冷蔵庫は、電気代の高騰で省エネ機種が人気。原材料費の高騰などで製品単価の上昇傾向は続くが、そうした中でも高付加価値機種が売れている。洗濯機でもドラム式洗濯乾燥機が存在感をますます高めている。
コロナ下の除菌ニーズに一服感が出たことで空気清浄機は動きが鈍い状況。調理家電も全体的には巣ごもり需要の反動を受けている形だが、電気自動調理鍋のように普及率がまだ低く、市場から価値が認められるようになった製品は需要の底上げが続く。
消費傾向の変化で家電以外への支出は強まっているが、水拭きできるスティック型掃除機など、新たな製品群も登場している。豊かで快適な生活に不可欠な家電で、提案できる商材はまだまだ多い。市場の動きが鈍い今だからこそ新たな商材の提案に挑戦するいい機会になるはずだ。(3~5面)