2023.07.18 KDDI、舞鶴市など 丹後とり貝のスマート漁業開始 データ化で安定供給目指す
養殖地に設置したセンサー
舞鶴湾で養殖している高級食材「丹後とり貝」のIoTを活用したスマート漁業がスタートした。KDDI、京都府漁業協同組合、舞鶴市は18日、京都府舞鶴市の舞鶴湾でIoTやセンサーを用いた漁場環境モニタリングを開始。養殖地に水温や塩分などを計測できるセンサーを設置。数年かけてデータを集め、観測データと丹後とり貝の育成状況との相関を分析する。
丹後とり貝は08年に水産物として初めて「京のブランド産品」に認定。ほかのとり貝よりも大きく肉厚なのが特徴。一方、水温や環境の変化に弱く、安定供給が課題となっていた。へい死率が高く、養殖数の約半数の個体が死んでしまうという。今回のIoTを活用したモニタリングで安定供給につなげる。
養殖地のイカダではセンサーなどで構成する「漁場観測装置」を設置。センサーは水深、水温、溶存酸素、餌となるクロロフィル、塩分、濁度を計測できる。装置には太陽光発電パネルや蓄電池を搭載し、昼夜問わずデータを取得できる。今回のモニタリングでは3、6、9、11メートルの深さに沈めたとり貝の稚貝を50匹詰めたコンテナのデータを深さ別に集め、適切に育つ深さなど分析。センサーは1時間ごとに4カ所の水深のデータを自動で収集、生産者が定期的に確認する貝数や成長度、へい死などのデータと合わせ、養殖の豊凶の要因を分析する。
舞鶴とり貝組合の川﨑芳彦代表は「これまでは生産者の勘で養殖していたが、データに基づいて取り組める。安定的な出荷を目指せるよう取り組みたい」と語った。