2023.07.27 【半導体/エレクトロニクス商社特集】明光電子 自ら現場訪問続ける 付加価値サービスにも注力

根本 社長

 明光電子の2023年8月期は、前期に93億円と過去最高だった売上高を2年連続で更新する見通しだ。

 半導体不足に伴う部品単価の高騰で22年度は特需的な上振れが売り上げの15%に及んだ。今期は半導体メーカーの生産が復調傾向で納期が改善しつつあり、特需部分は3~5%と本来の姿に戻りつつある。とはいえ、いまだ品不足の影響は全体の半分に及ぶなど小さくない。外資系メーカーのアナログ半導体やマイコン、FPGAなど品薄感が残る。

 新社長として就任からまもなく2年が経過する根本敬継社長は「会社を強くすることを意識してやってきた」と振り返りつつ、「社員が一生懸命やってくれた」とこの間のスタッフの努力をねぎらう。

 ここ2年は、ソリューション提案のほか、調達力、納期、迅速対応、技術サポートといった付加価値の提供に注力したことなどが奏功し、業績に表れている。「足を運んで直接会話しないと真の顧客ニーズは分からない」と自ら現場を訪問することも続ける。

 最先端製品の電力センサーやゲートウェイなどのIoT向け製品は展示会でも注目度が高く、少しずつ実績も増えているがスポット的な需要が多い。今後は、IoT組み込み機器の主要部品となるマイコンやセンサー、通信モジュールなども企画から提案していく。

 半導体メーカーからの商流変更なども起きている。商社としての営業活動に加え、付加価値サービスがユーザーからの期待であり、新規開拓を続ける同社の姿勢も選定要因になっており、業績にも好影響を与えている。

 また、前期より業績をけん引してきた半導体製造装置向けは好調が続くが、市場の需要変化も今後予想されるため、来期は半導体製造装置以外の産業分野でも、新規開拓に力を入れていく方針。具体的には産業用ロボット、計測機器、検査装置、自動運転システム、鉄道インフラ向けなどの受注を伸ばしたい考えだ。

 新卒の採用も積極的に進め、中長期的ビジネスに向けて人財育成にさらに力を入れていく。