2023.09.06 EVなど全固体電池に新技術 AGCが硫化物固定電解質で

作製された電解質

 AGCは6日、車載用全固体電池に使われる硫化物固体電解質の量産に向けた、新たな生産技術の開発に成功したと発表した。化学的に不安定で取り扱いが難しいのが課題だったところ、ガラスと化学の技術を融合させた独自の溶融法で、実証に成功した。事業化に向け、生産プロセスや品質の改善を進めていく。

 硫化物固体電解質はイオン伝導率が高く、電気自動車(EV)の航続距離の延長や充電時間の短縮が実現できることから、車載用全固体電池の有力材料とされている。

 従来の電解質合成法では、一度に取り扱える量に限界があることや反応に時間がかかることから、量産プロセス確立が大きな課題とされてきた。均質性不足や不純物の影響で、電解質の性能改善に向けた取り組みに限界があるとされてきた。

 同社は今回、新たな生産技術として、ガラスと化学の技術を融合させた独自の溶融法を確立。AGC横浜テクニカルセンター(横浜市鶴見区)のパイロットラインで、技術的な実証に成功した。ガラス量産技術を生かし、将来の量産を視野に入れたプロセスとなっている。従来の製法では難しかった多様な組成を高品質で作ることが可能になる。

(8日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報予定です)