2024.01.15 【電子材料特集】各社の事業展開 日本ゼオン

豊嶋 社長

高機能材料を中心に強化
CNなど実現へものづくり転換

 日本ゼオンは昨年、2024年3月期からの中期経営計画第2フェーズ(4カ年)を策定。26年度の経営目標として、売上高5100億円、営業利益580億円、既存事業ROIC9%などを掲げている。電池関連や医療分野向けなど高機能材料を中心に取り組みを強化している。

 同社は30年のビジョンに「社会の期待と社員の意欲に応える会社」を掲げ、21年度から中計第1フェーズに取り組んできた。

 第2フェーズの全社戦略では、第1フェーズで掲げた①カーボンニュートラル(CN)とサーキュラーエコノミーを実現する「ものづくり」への転換②既存事業を「磨き上げる」/新規事業を「探索する」③「舞台」を全員で創る、の継続とともに、④経営基盤を「磨き上げる」を加えた。

 ④経営基盤を「磨き上げる」では、26年度の目標値として、外国人/女性役員比率25%、社外役員比率過半数、女性管理職比率12%などを設けている。

 また、①カーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーを実現する「ものづくり」への転換では、単体でのCO2排出量削減目標として、26年度に19年度比29%削減を目指す。またSDGsに貢献する製品の比率を高めることや、休業災害件数ゼロを目標とする安定安全な生産、持続可能なモノづくりなどに取り組んでいる。

 ②の既存事業を「磨き上げる」では、注力するシクロオレフィンポリマー(COP)売上高を光学・医療用途で堅調に拡大させるとともに、電池材料は世界の電気自動車(EV)市場の成長を取り込むことで、26年度に向けて大幅な拡大を目指す。差別化製品を軸にポートフォリオ転換を推進し、高機能材料事業の構成比を高める。

 さらに、②の新規事業を「探索する」では、M&Aなども活用しながら新製品売り上げの積極的な拡大を目指す。

 豊嶋哲也社長は「化学製品の市況の構造が変わっていく中で、ポートフォリオを組み替えていく。長期的には、原料転換を実践していくことが課題」と話し、「ゼオンにしかない特長のある製品を提供し、世の中に貢献する」と意欲を示す。