2024.01.15 【電子材料特集】メーカー各社国内外で設備投資活発化

電子材料メーカーの設備投資が活発化している(クラレが23年に稼働した耐熱性ポリアミド樹脂のタイ新工場)

新工場建設や既存工場増設を加速

 電子材料メーカー各社は、中長期での需要増大に対応するため、国内外での設備投資戦略を活発化させている。各社は自動車や5G関連、次世代半導体プロセスなどでの需要増に照準を合わせ、新工場建設や既存工場増設を加速させており、国内では半導体産業が集積する九州・熊本地区での新工場建設の動きも目立っている。新たな研究開発拠点開設への投資も計画されている。

 電子材料の世界需要は、コロナ禍からの経済回復を追い風に2021年は好調に需要が増大し、22年前半も堅調に推移。22年後半から23年にかけては中国経済減速や欧米での高インフレ、コロナ特需からの反動などもあり、需要が鈍化したが、24年は需要の反転が予想され、特にxEVや次世代IT端末、次世代半導体プロセス、カーボンニュートラル関連などでの需要増大が期待されている。

 電子材料各社は、いずれも中期計画や長期ビジョンで積極的な売上高・利益の拡大を計画している。24年も多くの電子材料メーカーが国内外での新工場建設や新工場棟増設、既存工場での生産ライン増設などを計画している。特に、BCP対応や半導体の国内投資強化への観点から、国内生産体制増強の動きが活発となっており、特に国内外の主要半導体デバイスメーカーの大型投資が集中する九州・熊本地区での電子材料の新工場建設や新物流センター建設などが進められている。

 海外では、ASEANエリアを軸に、新工場建設や既存工場の生産体制拡充の動きが進展している。地産地消の観点から、北米などの生産体制拡充を進める日系電子材料メーカーもみられている。

 電子材料メーカー各社の新たな研究開発拠点開設への動きも国内外で活発化している。

 社会や技術の変化のスピードが一段と速まり、素材開発にも一層のスピードアップが求められる。そうした中で各社は、次世代の有望分野に照準を合わせた技術開発体制を充実させることで、イノベーションを加速する。

 次世代通信や次世代モビリティー、次世代半導体プロセスなどの成長分野や脱炭素、省資源、サステナブルなどのメガトレンドに照準を合わせ、基盤技術開発や新製品開発、プロセス開発などを推進することで、競争力の強化を目指している。

 各社の研究開発センターでは、電子材料の研究者とともに、DX(デジタルトランスフォーメーション)人材や化学や工学の知見を有する開発者の育成・強化などにも力が注がれる。最近は研究開発施設内に、顧客やアカデミア、スタートアップなど社外パートナーとの協創空間を設けることにより、他社とのコラボレーションを通じた新領域の開拓や新たな価値創造などが志向されている。