2024.04.19 【やさしい業界知識】接続部品

機械的な動作で工業製品に多用

ニーズに応え製品開発活発

 接続部品は、機械的な動作をする部品で、以前は「機構部品」と称されていた。対象製品は、コネクター、スイッチ、リレーなど。

白物家電やAV機器などの民生用電子機器をはじめ、スマートフォン/タブレット端末、パソコン、ウエアラブル機器、事務機器、通信機器、通信基地局、サーバー/データセンター、FA/製造装置、自動車、計測器、医療機器、放送設備、電力機器、鉄道関連、航空宇宙関係、ミリタリー関連など、あらゆる工業製品で使用される。

 電子情報技術産業協会(JEITA)統計によると、2023年(1~12月)の接続部品グローバル出荷額は前年比4.9%減の1兆328億円。部品市況悪化が影響し、3年ぶりに前年比マイナスとなった。

 接続部品のグローバル需要は、米中摩擦に伴う中国経済減速や自動車販売低迷、新型コロナウイルス禍による経済停滞などにより18年から20年までマイナス成長が続いたが、21年と22年はコロナ禍からの経済回復などにより高い成長を確保した。23年は民生・中国関連需要の低迷や流通在庫過多による在庫調整などが響き反落したが、24年は成長回帰が予想されている。

部品業界の双璧

 生産メーカー数の多さでは、コネクターとスイッチは部品業界でも双璧で、専業メーカーも多い。

 スイッチは、機器と人とのインターフェース用や、機器の信号切り替え用として用途は広く、品種も極めて多い。単品スイッチをベースに応用製品/ユニットなどを手掛けるメーカーもある。

 コネクターは、機器内配線や機器間インターフェースに使用される。一般電子部品の中では、米国系などの欧米系コネクターメーカーが日本でも高い販売シェアを持っているのも特色。近年は、欧米系大手コネクター企業によるM&Aも活発化している。

高シェアの日系

 スマホなどのモバイル端末向けで日系接続部品メーカーは世界で高いシェアを持ち、海外大手スマホメーカーの端末にも日系メーカーの内部接続用コネクターやインターフェースコネクター、小型スライドスイッチなどが多数搭載されている。

 新製品開発では、民生用・車載用・産業機器用ともに、軽薄短小化や高速伝送対応、大電流対応、耐環境対応、長寿命化などへの要求が一層強まっている。特にスマホやウエアラブル端末の内部接続用の超小型・低背・省スペース品や、サーバー/通信機器向けの高速伝送対応コネクター、車載電装機器や産業機器、新エネルギー分野向けの大電流・高耐圧品などの開発が活発となっている。

車載用がけん引

 近年のコネクター市場の成長をけん引しているのが自動車分野。自動運転車では、車外からの大量の情報を認識し、高速演算処理するために高速信号に対応したコネクターが求められる。電気自動車(EV)などの電動車では、大電流・高耐圧対応のコネクターが要求される。これらのニーズに対応する車載用コネクターの技術開発が加速している。

 製造面では、分野を問わず海外生産比率が高まってきており、中華圏やASEANを軸に海外量産工場が展開されている。一方で、最先端の5Gスマホ内蔵用コネクターなどでは国内工場での自動機生産増強を進める企業もあり、コネクターは一般電子部品の中では、相対的に国内生産比率の高いジャンルの一つとされる。(毎週金曜日掲載)