2024.06.12 【JISSO PROTEC/JPCA Show特集】電子回路基板の市場動向 24年、生産増を予想 堅調な車載やモバイル回復など
電子回路基板は、自動車、情報通信端末、産業機器などの成長分野を中心に、技術の高度化と生産規模拡大が進展している。特に近年は、CASEをメガトレンドとした自動車の高機能化、5Gの本格化、IoT市場の広がりなどが電子回路基板需要を押し上げている。
経済産業省生産動態統計によると、電子回路基板の国内生産は2020年から22年まで3年連続で増加。特に21年は新型コロナからの経済回復により前年比33.2%増の6482億8000万円と大きく成長した。22年も同6.7%増の6931億3100万円と1桁台後半の伸びとなった。
23年の電子回路基板生産は顧客在庫調整長期化などにより、前年比17.9%減と減少したが、電子回路実装基板生産は同9.4%増と伸長した。
24年の電子回路市場は、堅調な車載関連需要や、産機市場の底打ち反転、モバイル市場の回復などにより生産増が予想されている。そうした中で、電子回路基板各社は将来の需要に対応するため、国内外での新工場建設を含む設備投資を活発化させている。
電子回路基板の技術開発では、自動車向けは、電動化進展により、インバーター、DC-DCコンバーター、オンボードチャージャー、バッテリーマネジメントシステム(BMS)などの高放熱、大電流を要する基板需要が拡大しており、メタル基板、厚銅基板、銅インレイ基板、スルーホール厚付け銅めっきなどの技術が適用されている。
スマートフォン、モジュール、半導体パッケージ用は、高密度技術が一段と進んでいる。スマホ向けのエニーレイヤー基板は、L(ライン)/S(スペース)が50マイクロメートル/50マイクロメートル以下の微細化技術を適用した製品へと高度化。さらに、30マイクロメートル/30マイクロメートル以下の微細パターン化が可能なMSAP工法や20マイクロメートル/20マイクロメートル技術の導入も進む。
モジュール基板では、多層板の内層にICや抵抗器、コンデンサーなどの部品を埋め込み、基板表面にも部品を実装することで基板面積を小型できる部品内蔵基板技術も注目されている。