2025.01.09 【電子部品総合特集】部品メーカートップに聞く 2025年の経営戦略 ニチコン 森克彦社長
森 社長
2025年3月期に目指している連結売上高1760億円、営業利益52億円に向けてコンデンサ事業、NECST事業の取り組みを強化している。26年3月期は今期以上の数字を目指し、両事業とも実績を高め、NECST事業は過去最高の売り上げに挑戦する。
24年はコンデンサ事業で車載関連機器向けや情報通信機器向けの生成AI(人工知能)サーバーなどデータセンター用途の需要が拡大した。一方、産機インバーターやパワーコンディショナー、エアコン用途の大形アルミ電解コンデンサーの在庫調整が続いた。
NECST事業は家庭用蓄電システムで新製品の導入効果などで9月以降販売が増え、直近は過去最高実績が続いている。V2Hシステムは今年度の政府補助金開始が例年より遅く、落ち着き気味。急速充電器は製品の設置が進み、医療用など大型特殊電源も案件の立ち上げが進んだ。
25年はコンデンサ事業で自動車や情報通信機器などの成長市場に注力する。また、NECST事業は蓄電システムや大型特殊電源などが継続して実績を拡大できる見込みであり、計画通りに推移している状況だ。
コンデンサーは春に新製品を発売予定。車載機器向けや情報通信向けなど今後伸びる市場に新たな商品を投入する。NECST関連商品もこの春から随時各カテゴリーで新製品を投入予定。市場に見合った商品を幅広く展開する。デザイン性や利便性などを追及し、ユーザビリティーに富んだモノづくりを推進している。
環境施策として、ニチコンワカサ(福井県小浜市)で24年2月から使用する電力を100%再エネ由来の電気にした。ニチコン亀岡(京都府亀岡市)でも昨年春からVPPの規模を拡大した。
当社が扱う蓄電システムなどは商品を導入することで環境配慮につながる。経営理念の「価値ある製品を創造し、明るい未来社会づくりに貢献する」を推進し、持続可能な社会の実現に寄与したい。
現状維持は衰退を意味する。良い変化をして挑戦する企業にしたい。世の中の変化に対応し、変えるべきところを変える。普遍的なことに疑問を呈する文化を全社で根付かせたい。