2025.01.14 【電子材料特集】各社の事業展開 クラレ
池森 執行役員
ジェネスタ、年率10%成長計画
コネクター向けなど需要増で
クラレは、耐熱性ポリアミド樹脂「ジェネスタ」を事業化し、電気・電子分野のコネクター向けや、モビリティー関連(車載電装/自動車用耐熱部品など)を中心に実績を拡大している。
ジェネスタ(PA9T)は、同社が世界で初めて工業化したノナンジアミンを使用したポリアミド樹脂。耐熱性、低吸水性、耐薬品性など優れた特長を持つ。特長は①優れた耐熱性(融点306度と高く高温時物性に優れる。はんだ耐熱性270度)②低吸水性。以上により表面実装時のブリスター発生を防ぐ③優れた成形性など。
池森洋二常務執行役員イソプレンカンパニー長兼ジェネスタ事業部長は、ジェネスタ事業について「2024年7月以降、スマートフォンやタブレット、ゲーム機などの民生系の電気・電子用途の回復が顕著。25年に向けても、パソコンの買い替え需要増加が期待できるほか、サーバー用コネクターや自動車用コネクターでの成長が見込まれる」と話す。22年度(12月期)から24年度までの3カ年のジェネスタ販売数量は年平均成長率10%を達成する見込み。25年度以降も年率10%の成長を計画する。
モビリティー用途では、今後の成長機会として熱マネジメント部品、ギア部品、配管、自動車用コネクター、EV(電気自動車)用高電圧部品などを挙げる。自動車用コネクターは、CASEの進展で電装部品点数が増加し、同時に車載電装部品のSMT化で省スペース・小型化と生産性向上が求められる中で、寸法安定性・強度が評価されている。
サーバー用コネクターでは、AI(人工知能)対応サーバーが拡大する中で、DDRコネクターのSMT化や員数増が進んでいるが、寸法安定性や強度に優れるジェネスタは同分野でデファクトスタンダード化されており、「サーバー向けコネクターでのジェネスタ販売数量は今後、年率20%以上の成長を見込む」(池森常務)。
ジェネスタの生産体制は、国内2拠点に加え、タイ工場が稼働し、BCP体制を確立した。販売・技術サービス拠点はグローバルで10カ国・13拠点体制が整備され、「今後も各拠点で人員増強を進める」(池森常務)。