2025.01.16 【計測器総合特集】日本アビオニクス 竹内正人社長
竹内 社長
日本アビオニクスは、赤外線サーモグラフィーを軸にセンシングソリューション事業を展開する。民生事業の柱である接合機器事業に防衛分野の情報システム事業を加え、2019年度以降、5期連続で増益を記録している。
竹内正人社長は、センシングソリューション事業の環境を「少子高齢化を背景にした労働人口減少の中、設備を遠隔で常時監視するニーズがある。インダストリー分野では製造工程で赤外線カメラの活用が増えている」と説明する。
半導体ウエハーの製造工程や自動車の検査工程が堅調なほか、産業保安分野ではバイオマス発電施設で発火防止や予兆監視、データセンターで設備監視の需要が高まっている。
産業保安向けのネットワーク対応サーモカメラ「N50シリーズ」は、LANケーブル接続で遠隔での設備やプラントのリアルタイム監視が可能。ブラウザーからカメラの制御やモニタリングを行い、予兆を捉えて事故を未然に防ぐ。
ドローン(無人機)にサーモカメラを搭載したソリューションの検証を進めている。検査効率の向上とともに、建物の外壁、橋、電力設備といった高所や難所での危険作業の軽減を目指す。
独自技術を応用して通常のサーモカメラでは測定しづらい対象を測定するのが強み。特定波長モデルはガラス越し、反射で測定が難しい金属表面、火炎越しの測定により製造品質の向上に貢献する。
昨年12月、高解像度、高分解能で微小な部品の熱解析ができる「H9300」を発売した。半導体の高機能化・小型化を背景に、パワー半導体の需要増加により高電力・高電圧に耐える材料研究が進む。H9300で最先端の研究開発需要に応える。
ヘルスケア分野では今月末から、患部の温度分布を表示し、持ち運びも容易なポータブル型の医用サーモ「F50ME」の出荷を始める。21年にヘルスケア事業推進室を設立しており、F50MEは医用市場への参入第1弾となる。「問い合わせが多数あり、医療分野への展開に期待している」(竹内社長)。医療現場の負担軽減に寄与していく。