2025.01.16 【計測器総合特集】共和電業 田中義一社長
田中 社長
山形の主力工場の生産性向上へ
共和電業は2024年、創業75周年だった。田中義一社長は「ひずみゲージをセンサーデバイスとして提供してきた。新しい使い方をお客さまと一緒に考えることが今後の成長につながる」と話す。
24年の業績は、主要顧客の自動車産業でEV(電気自動車)の新車開発により衝突試験システム関連の需要が23年下期から引き続き好調。高速道路の重量計測システムや高速鉄道の熱検知システムの受注は復調し、内訳では汎用(はんよう)品が伸長した。ダム関係では計器の更新が順調に推移した。
田中社長は強化ポイントについて「お客さまの数を増やし、裾野を広げたい。同じ業界内で水平展開できる特注・システム品がある。活用事例を紹介するなどPRし、営業活動を積極化したい」と説明。数年に一度の頻度で発注する顧客への深掘りを図る。
新規開拓では展示会などの来場者をインサイドセールスでバックアップする体制を築く。選別した案件を営業担当者につなぎ、営業生産性を高める。
顧客の利便性向上のためにウェブ販売を促進してきた。23年2月、ひずみゲージとその関連製品をネット通販サイトで販売開始。24年6月にネットストアでの販売も始めた。今後は製品ラインアップを拡充する。
「コト売り」の拡大としてクラウドサービスを事業化していく。昨年7月には計測ソリューションの開発・提供のため、システム開発会社と協業を開始した。同ソリューションの第1弾は自動車試験分野を予定しているが、対象分野や使い方は広げていく。
山形の主力工場の生産性向上に着手する。設備のレイアウトや生産プロセスを見直し、生産に関するデータを組み込み、管理していく。
24年は中期経営計画(3カ年)の最終年で、中長期計画(6カ年)の前半「成長のための基礎固め期」だった。田中社長は「コロナ禍で生産が追い付かなかった時期がある。危機管理の中で材料調達の仕組みをつくる必要を感じた。この点は新中計で検討していく。組織風土改革を含めた人材教育をしっかりと進めていく」と述べる。