2025.01.16 【計測器総合特集】横河計測 鈴木俊之社長

鈴木 社長

韓国で先行的にソリューションビジネス 「コト売り」に注力

 横河計測は、脱炭素、通信、ウェルビーイングの3事業を展開する。先行指標となる受注高は2024年度上期で158億円。前年同期比で26億円増加となり、好調に推移している。

 通信事業について、鈴木俊之社長は「生成AI(人工知能)向けでデータセンター(DC)への投資は非常に活況だ。光通信デバイスの生産用として量産向けの光スペクトラムアナライザーが好調」と話す。今後、光トランシーバーの増産において検査時間を短縮するソリューションの投入も検討する。

 脱炭素関連も市場は活況を呈す。EV(電気自動車)や再生可能エネルギーなど基本的な流れは電化だ。各種投資に多少の低下があっても、パワーアナライザーやオシロスコープの需要は当面堅調とみている。

 一方、ウェルビーイングは若干苦戦しているが、医療・ヘルスケア機器、環境計測、レーザー加工の業界からの引き合い自体は多いという。

 注力する「コト売り」では、韓国で先行的にソリューションビジネスに注力。EVに搭載されるオンボードチャージャーの開発システムを製作し納入した。同システムは顧客のニーズに柔軟に対応しカスタマイズしながらグローバルに展開していく。

 主要3事業に加え、サービス事業にも期待を寄せる。大手メーカーから年間保守契約を獲得するなど、業績は伸び始めている。また、製品説明のセミナー開催を求める声が顧客サイドから上がる。サービスメニューやトレーニングメニューをつくり、国内外でニーズに対応していく考えだ。

 海外市場では、中国や韓国、インドが好調に推移する。特に成長著しいインド市場では全産業が伸長していると分析し、一層強化していく。

 AI向けDCなどで市場の活況は持続すると判断しており、タイム・ツー・マーケットで新製品を投入する。

 世界的には先行きに不透明感が漂う。鈴木社長は「いかに迅速に対応できるかが重要。これまで以上にお客さまと密にコミュニケーションを取る必要がある。アンテナを高く張り巡らせる」と話す。