2025.01.29 【水晶デバイス特集】日本電波工業
2016/2520サイズ差動出力SPXO
世界最高レベル実現、高周波・高精度・低ジッターSPXO
日本電波工業は、自動車や移動体通信、産業機器などを重点分野に掲げ、小型・高品質の水晶デバイス開発に力を注いでいる。産機関連は、5G基地局向けに加え、成長が見込まれるAI(人工知能)サーバーや光トランシーバー市場向けを中期で大きく伸ばしていく方針。
同社は、次世代データセンター(DC)や光トランシーバー向けに、世界最高レベルの高周波・高精度・低ジッターを実現した2016/2520サイズ差動出力SPXO(クロック用水晶発振器)を開発した。
AIサーバーの処理データが増大し、光伝送モジュール搭載部品には、より小型で発熱による高温に耐える高信頼性が求められる。同社はフォトリソグラフィー技術を駆使し、高温に対応する高周波、高精度、低ジッターを実現した2.0×1.6/2.5×2.0ミリメートルサイズ差動出力発振器を開発。基本波156.25メガヘルツ、312.5メガヘルツからサンプル提供を開始し、順次周波数を拡張、基本波625メガヘルツまで対応予定。既にサンプル対応中で、量産時期は156.25メガヘルツ品が25年4月、312.5メガヘルツ品が26年4月を予定。
ウエアラブル機器向けでは、世界最小サイズで低ESRを実現した、0.8×0.6ミリメートルサイズの水晶振動子「NX0806AA」(外形寸法0.8×0.6×0.25ミリメートルMax)を開発、サンプル出荷を開始した。
自社で育成した高品質な原石を使用し、独自のフォトリソ微細加工技術で水晶片を高精度に加工することで、世界最小サイズの小型・低背化を実現。パッケージサイズに入る共振子をできる限り大きくすることで、小型ながら低ESRを実現し、消費電流の抑制を可能にした(76.8メガヘルツ実績にてESR TYP値=21Ω)。
車載用水晶発振器は、2.0×1.6ミリメートルサイズ(高さ0.8ミリメートル)で業界初となる125度の高温下で動作可能かつ高周波出力対応(100メガヘルツ)のOCXOを開発。自社で育成した高品質で高Q値の人工水晶を用い、フォトリソ工程による水晶振動子設計の最適化と、高温動作/高周波対応の発振回路との併用を図ることで、高温動作/高周波対応の2016サイズTCXOを開発した。
新規市場開拓に向け、同社の技術を応用した新しい製品への展開にも力を入れている。屋外撮影時にきれいな映像が撮影可能になるカメラ用光学ローパスフィルターの提案を進めているほか、究極の高純度の人工水晶を使用した波長板の半導体製造装置向けに、高出力レーザー用水晶波長板の提案も進めている。QCMセンサーの半導体製造装置向け展開の提案も行っている。