2025.03.14 蘭NXPが新車載マイコンを投入 低遅延で次世代車SDVに対応

S32K5が対応するゾーン・アーキテクチャーのイメージ

「究極的には末端のアクチュエーターにマイコンレスのものが求められる」と語る山本統括本部長「究極的には末端のアクチュエーターにマイコンレスのものが求められる」と語る山本統括本部長

 オランダの半導体大手、NXPセミコンダクターズは、自動車の制御装置で使用するMCU(マイクロ・コントローラー・ユニット)の新製品を発表した。ソフトウエアで進化する次世代車「SDV(ソフトウエア定義型車)」の開発を後押ししたい考えだ。

 今回の新製品「S32K5」は、2025年第3四半期(7~9月)にサンプルを出荷予定。

 具体的には、車両内の各領域(ゾーン)にECU(電子制御ユニット)を分類し統合する「ゾーン・アーキテクチャー」という手法への対応を想定し、リアルタイムに制御できるようにした。ゾーンごとに機能をまとめる仕組みのため、末端への低遅延の通信が求められる。

 NXPジャパン・オートモーティブ営業統括本部の山本尚統括本部長は「究極的には末端のアクチュエーターにマイコンレスのものが求められる」とゾーン・アーキテクチャーによる機能統合の意義を強調する。

 ワークロードの内容の多様化を踏まえ、複数の種類のCPU(中央演算処理装置)コアを搭載。ゾーンごとに機能を統合し、コアからピンまでそれぞれの機能同士が不干渉になるよう設計している。

 SDVに必須の高速で信頼性のあるソフトのアップデートに適していることも強み。16ナノメートル世代FinFET(フィン型電界効果トランジスタ)プロセスのMRAM(磁気抵抗メモリー)を、業界で初めて採用した。組み込みフラッシュメモリーに比べて15倍以上の書き込み速度を実現する。

 同社のS32シリーズは、車の動力やボディにかかわるECUを統合的に処理し、ADAS(先進運転支援システム)やコックピットへの展開は予定していない。