2025.03.14 光半導体で成長へ ams OSRAM 「日本は車載以外を拡大させる」

事業戦略を説明するカンパーCEO

日本市場での取り組みを話す日本法人の針田社長日本市場での取り組みを話す日本法人の針田社長

自動車分野の新たな提案例(出所:ams OSRAM)自動車分野の新たな提案例(出所:ams OSRAM)

ロボット向けではさまざまな用途でLEDや光センサーが活用される(出所:ams OSRAM)ロボット向けではさまざまな用途でLEDや光センサーが活用される(出所:ams OSRAM)

 スマートフォンやパソコン(PC)、家電などの電子機器に欠かせない半導体。なかでも光技術を活用した半導体は、LEDやセンサーとして日常に溶け込んでいる。光半導体のグローバル企業であるams OSRAM(オスラム)は、センシング技術とLED技術を融合させた独自ソリューションを展開し、成長を続けている。

 ams OSRAMは、光学センサーを手掛けるオーストリアのamsが、ドイツの照明メーカーであるオスラムを2020年に買収、統合して誕生。LEDと光センサーを軸に事業を展開し、23年の光センサー市場ではシェア1位(OMDIA調べ)、24年のLED市場では2位(TrendForce調べ)を獲得するなど、高い競争力を誇る。売上高の約70%をLEDや光センサーなどの半導体事業が占め、残る30%は車載向けランプが担っている。

 アルド・カンパー最高経営責任者(CEO)兼取締役会長は「LEDや光センサーは幅広い市場で重要性が高まっている。特に自動車市場では、車載ランプのLED化が急速に進んでおり、今後、自動運転の実現に向けて光センサーの活用も広がる」と述べ、「LEDとセンシング技術に強みを持つ当社ならではのソリューションを提案していく」と力を込める。

 カンパーCEOは23年の就任以来、事業ポートフォリオを見直し、成長市場への選択と集中を推進。現在は、自動車、産業、モバイル・ウェアラブル、ライティング、医療・ヘルスケアを重点分野に位置付けている。

 自動車向けでは、標準的なLED光源に加え、高解像度のマトリックスLEDやプロジェクションシステムなども提供。例えば、路面に光を照射し、歩行者へのメッセージを表示する技術も開発している。産業向けではロボットや工場の自動化に貢献するセンサーソリューション、モバイル・ウェアラブル向けではバイタルサインの管理やカメラ機能の強化に寄与する光センサーを展開する。

 同社は24年、マイクロLED事業から撤退。ドイツ、マレーシア拠点の人員削減を実施し、成長市場への集中を進めた。「マイクロLEDの開発を通じて学んだ技術は有益であり、今後必ず生かされる。新たなアプリケーションを生み出せるよう検討していく」(カンパーCEO)。

 同社は、今後の成長戦略で日本市場を重視する方針を示す。現在、日本法人はオーストリア本社と連携し、車載以外の分野の拡大に力を注いでいる。今年1月には「マルチマーケット営業部」を新設。日本法人の針田靖久代表取締役社長兼日本地域統括バイスプレジデントは「非車載分野の引き合いは年々増えており、案件数は23年比で50%以上増加した。今後もポテンシャルの高い非車載分野への取り組みを加速する」と展望を語っている。

<執筆・構成=半導体ナビ