2025.03.21 【九州産業特集】DELIA エネ関係の教材試作・開発に注力

実践教育向けのキット

 DELIA(データサイエンスによる分散エネルギー情報基盤アライアンス、福岡市早良区)は、これまでローカルVPP(仮想発電所)の一戸建て住宅での実証などを重ね、実際のビジネスにつながるシナリオの作成段階に入った。教育面では教材キットの開発、ソフトウエアではデータサイエンスAI(人工知能)の取り込みを実施している。

 今一番力を入れているのは、さまざまなエネルギー関係の若い世代からスキルアップしたい年配者まで、今の技術を学んでもらえる教材の試作・開発で、既に一部で提供も行っている。

 実践型テクノロジー学習として、プロジェクトを通じてスキルを極められるよう、手を動かしながら、最先端の技術を取得できるような教材を開発している。

 今回のキットは温度、湿度、気圧のデータを収集、Wi-Fiでクラウドに上げ、それをダウンロードしてモニター分析を行う。モニタリングもでき、直接スマートフォンからもアクセスできる。

 機能別に基板を作り、電源、電流、電圧などセンサー別になっている。普通は製品内に全て入っているが、モジュールごとに閉じているため一つ一つ個々に勉強できる。ハードウエアは市販のArduinoシリーズを使い、実際に使われているソフトウエアを入れていることが強みだ。

 もう一つが絶縁型電圧・電流センサーをA/D変換し、コンピューターボードに取り込み可視化するソフトウエアで、電流電圧が手に取るように分かり、分類できる。特徴はAIで分析できることで、時系列の中で普段と違う波形を検出でき、故障解析に使える。

 1月に東京ビックサイトで開催の「DER/MicrogridJapan 2025」では、中村良道代表理事が「分散エネルギーとデータサイエンス・AI」のテーマで講演し、今後はスマートメーターの外側にバッテリーを配置、接続することでローカルVPPが拡大可能なことを指摘。今後、マイクロインバーターなど規制緩和が起こる可能性は高いが、「あまり意識せずに、レジリエンスを高めるような形での新しい分散エネルギーシステムになっていく」と話した。